初代 マロンの腎臓病

 

  「達磨山」山行記(2003.1.25)より…

マロン連れでの伊豆・一泊旅行を計画。 娘、息子夫婦の家族も誘って犬連れ宿泊・可の戸田の宿に予約を入れる。初日には戸田峠から標高差300mほどの「達磨山」にも登るつもり。場合によっては体力の落ちているマロンはザックに入れて登ることも想定。

出発の2日前、念のため掛かり付けの「のづた動物病院」にマロンの血液検査を依頼。
 →
結果は腎機能数値がひどく悪く「即、入院」の勧告。

 信頼している院長なので、即日マロンを入院させ、マロン抜きでの旅行に出発。…伊豆先端の爪木崎に立ち寄り、見頃の水仙を眺めながらも見物客の連れている柴犬やボーダーコリーに目が行き、病院で点滴管に繋がれているマロンが目に浮ぶ。思いを振り払って、修善寺経由で戸田峠に向かう。…(以下略)

 

    腎機能悪化の経緯

 

 

4年前にマロンを家族に迎えて1年後、マロン連れで日光の「男体山」に登る。復路ではマロンが疲労困憊。

 その半年後、マロンは避妊手術の事前血液検査で腎機能が低いと診断され手術は見送り。またこの頃から公園に集まる犬に混じって遊ぶのを避けるようになり、マロンには運動能力や体力があまり無いとは感じてはいた。

…が、私たちとの山行ではいつも楽しそうに歩くので短期間に多くの山歩きに付き合わせてしまった。

 

百山以上も登り終えた昨年(2002)のクリスマスの日、フト気になって獣医師に半年ぶりに血液検査を依頼。この半年はフードを療養用に変えたり活性炭を与えていたので好結果が聞けるものと期待していたが…。

結果はひどく悪化しているとの診断。 <BUN(血清尿素窒素)は正常値727に対し82.8、 CRE(クレアチニン)は正常値0.21.5に対し7.24>
 このため、活性炭はカプセル入りに変え増量、従来の療養フードは鼻で突付いて食べるのを嫌がるので別銘柄に変えてもらい腎臓病犬用缶詰も購入し餌に混ぜることにして正月を過ごす。

 

 年明け114に血液検査。  →CREは僅かに低下するもBUN104にアップ。赤血球数も低下しているので鉄分添加の肝臓エキスも飲ませるよう指導を受け1週後の再診を待つ。

 123日の血液検査データは更に悪化(BUN=107.3,CRE=7.17)。思いがけなく即、入院の勧告(…上記「達磨山・山行記」)

 マロンは4日間の入院で点滴治療を受けたが腎機能に改善は見られずむしろ悪化 (BUN=111.2,CRE=7.3) 。院長はマロンの腎機能低下は腎臓前後に問題はなく、「糸球体腎炎」の可能性が高いと説明し、投薬に免疫抑制剤カプセル(商品名:Neoral)が追加された。

  インターネットで「糸球体腎炎」を調べると
腎臓内にある糸球体(血液が流れて最初に濾過される場所)が炎症を起こし、その免役反応から作られた免疫複合体や、アミロイドという成分が沈着して糸球体が壊され、機能を失う病気で、炎症の原因は、自己免疫性疾患や全身の細菌やウイルス感染症、フィラリア症、関節炎や膵炎、ホルモン疾患、家族性、原因不明など様々である。
最終的には、ネフローゼ症候群という、低蛋白(アルブミン)血症、浮腫、腹水、重度の蛋白尿が見られるようになる。治療は、原因がわかればその治療をするが、思うように効果が得られない場合も多い。
と書かれていた。

 

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 小雨の夕方、4日間の入院を終えたマロンを引き取りに出向く。
帰宅直後、マロンは落ち着かず家の中を歩き回り硝子戸を開けると雨の庭に飛び出してフンと排尿。神経は太いマロンだが点滴管に繋がれた(?)4日間はキツカッタ様子。体重は11.7kgに落ちていて、毛もよく抜ける。ドックフードを与えると喜び食べる。入院前の環境を整え静かに寝かすとやがて鼾をかいて熟睡。

 院長からはBUN値が100を越すと死ぬ犬もいるとも聞いたので、最悪の事態も考えられインターネットでホスピスケアなども検索してみる。
  
ホスピスケアー(HPより抜粋)
1)生きることを尊重し、「死への過程」に敬意をはらう。
2)死を早めることも死を遅らせることもしない。
3)痛みやその他の不快な身体症状を緩和する。
4)精神的援助を行い、患者に死が訪れるまで、生きていることに意味を見いだせるようなケアを行う。

 

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 マロンには先が無いかもとの思いでマロンを木彫像に写す。退院後は体毛がゴッソリ抜けたので、おかーさんはマロンのレインコートを防寒コートに改造。

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 マロンが死んだら火葬にして骨は家近くの桜の下に埋めてやろうと妻と話す。

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 免疫抑制剤が効果を出しているのか、マロンに食欲が戻り、体重も12kg台に増える。

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 通院し血液検査を受ける。BUN値が100を越したのにしっかりしているマロンに院長が首をかしげながら採血。足も太いマロンなのに血管は細いらしく毎回、院長が採血に苦労。以前は両前足で血管に刺さらず、後ろ足でやっと採血、今回は2本目の足でやっと血が取れた。マロンはピクリとも動かず結構、我慢強く耐えている。

結果は BUN=97.5, CRE=6.27。  やっと好転。院長は免疫抑制剤が効果を出したのかもと云いながらも、高価な薬(1600/)だし、長期連続投与は好ましくないとも云う。・・・で、更に1週間継続投与して様子を見ようということになった。退院後、ドックフードは美味そうに食べるがカプセルを飲むのはいつも嫌がって逃げる。

  「免疫抑制剤薬剤」を薬剤メーカーのHPで調べると
免疫抑制剤は免疫力を低下させ、抗原抗体反応を抑制させる薬剤です。臓器移植をしたり、膠原病等の自己免疫疾患になると抗原抗体反応が強くなり、炎症が続きます。この場合、対処的に免疫抑制剤を用います。免疫力が弱くなる為、逆に感染症や胃腸疾患、血液障害の心配が出てきます。副作用は、必ず現れると言っても過言ではありませんが、軽減させて、うまく服用を続ける必要があります。
と書かれていた。

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 朝夕のフン散歩でゴミを漁るカラスを追い立てる姿を見せた。少し散歩距離を増やし、階段も登らせてみる。
どうせ先が無いのではと暫く放っておいたマロンの歯垢取り(ミニドライバーで削り落として歯ブラシで仕上げ)をすると歯茎に赤みが戻っている。肝臓エキスや免疫抑制剤の一時的な効果かもしれないが、かなりいい感じ。

  25   マロンの腎機能低下原因の考察
 マロンの腎機能低下は生後1年半頃の血液検査で把握。その後は正常値を少しオーバーしていた程度で山歩き程度の運動は可との獣医師の言葉で山歩きは継続していた。

去年の5月、CRE値 悪化が把握されてからは食事療養していたのに12月の検査データが急に跳ね上がったのは、山歩きの負荷がマロンの許容レベルを大きくオーバーしていたのかも・・・とも思え、これまでのマロンの登山記録を数値化してみた。

 

 

データからマロンは3000m/月 程度の登高を継続してこなす能力は保持していたようにも思える。

昨年の5月に数値が悪化し始めているが、その前3ヶ月間は個別の山でも左程厳しい山に登っていないので、私達の山歩きに付き合わせたのが悪化の引き金になったのでは・・・との思いは当たっていないのかも。

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 マロンは早朝の散歩は元気に付いて来るので、団地の外周を20分ほど連れて歩く。顔見知りの犬に出会うと遊びに誘うような仕草も見せる。腎臓は悪化すると回復しない臓器とのことだが、マロンは例外であるといいのだが・・・。昨夕の散歩ではフンをしなかったが今朝は十分。朝食は気持ちよく摂り、トレーを嘗め回していた。

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 副作用も覚悟の上の免疫抑制剤を1週間続けたので、マロン同伴で動物病院に出向き院長にマロンの体調を報告。

 この1週間、体重は12.2kgで横ばい、食欲は食後に食器を嘗め回すほどに回復。散歩では鳩を追う姿も見せ、朝夕は20分ほど歩く。
この状況説明に院長からは「免疫抑制剤は隔日にしましょう」の指示。

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 免疫抑制剤を隔日にして1週間。食べるのを拒否した以前の腎臓病用ドックフードも美味そうに食べる。しかしこのフードを増量するとフンが緩くなる。体質に合わないのかも。

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 免疫抑制剤を使い切ったので病院に出向く。院長は所用で別の先生が対応してくれたがマロンの血管が細く、今回も採血に手間取る。結果はBUNが若干UP(106.6), CREは若干DOWN(6.14)
腎臓病治療をHPで調べると蛋白質は過剰に与えても、足りなくてもBUN(血清尿素窒素)値は高まるものらしい。その点、腎臓能力を直接的に示すCRE(クレアチニン)値に減少がみられたのがうれしい。
免疫抑制剤はそのまま隔日で継続しましょうとの指示でカプセル2種と肝臓エキスを購入し帰宅。

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 前回の通院後も食欲は落ちず体重も横ばいなのでフードに缶詰を混ぜるのは止める。朝散歩は山を歩くペースに同伴してくるので体調が良くなっていると判断し免疫抑制剤は3日間ほど投与を控えてみる。

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 腎臓病をインターネットで調べると、マダニに起因する「バベシア症」も腎機能障害の原因になることもあると書かれていた。

バベシア症  (HPより抜粋)
 マダニを中間宿主とするバベシア原虫の感染によって起こる疾患。バベシア原虫は、主に関西地方に分布し東進しつつあります。 この原虫はマダニの吸血で犬の血液に入り、赤血球内で分裂して増殖する際に赤血球を壊すため(溶血)、犬は発熱や濃い黄橙色の尿、舌や粘膜の色が白っぽいなどの症状を示す。
治療は、主として抗原虫剤の投与が推奨されています。

 マロンはこれまで随分、ダニの洗礼を受けているので今回の腎機能悪化は「バベシア症では?」とも思えたので、念のため直ぐ採尿して「動物病院」に検査を依頼。
院長からは「バベシア」はまだ関東では稀だとの説明があり、「尿検査」でもその気配はなくph,蛋白とも問題無しとの説明を受けた。「バベシア症」だったら治療薬がある筈なので残念。

 また、免疫抑制剤は副作用を持つので出来れば減らしたいと考えていたので体調がよければ削減しても可とのこと。  活性炭カプセルと肝臓エキスを購入して帰宅。

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 マロンはこの3日間も食欲あり、フン・排尿も問題なく、体調が良さそう。散歩でも元気に歩くので免疫抑制剤は与えず過ごす。毎夕、体重を計るので体重計を見ると黙っていても抱かれにくる。体重は12.2kg前後で安定して推移。
 朝夕の散歩エリアを少しずつ広げ、20mほどの階段も含めて40分ほど歩く。思い切って明日は近場の低山を歩かせてみることに決める。

 

  城山 山行記 (2003.2.26)

 マロンに免疫抑制剤を1週間、連続投与し2/8に通院して院長の診断を受ける。マロンの体調が良さそうな為か今回は血液検査をせず、免疫抑制剤は隔日投与の指示を受け帰宅。

 薬を飲みきった2/17、通院し血液検査。結果はBUNが若干UPCREは若干DOWN。この数値でも人間では透析開始レベルらしく投薬は同条件で継続の指示を受ける。

 しかし、マロンは見た目には体調が良さそうで40分ほどの散歩も元気にこなす。これならと副作用の心配もあるという免疫抑制剤は与えず活性炭カプセルと肝臓エキスで4日ほど過ごさせてみたが体重、フン、抜け毛、活性等に問題は無さそう。

・・で、明日は思い切って散歩の延長のつもりで、二ヶ月ぶりに短コースの低山に連れ出すことにした。対象の山は山行時、毎回通過していた津久井湖畔の「城山」に決める。…以下略。
山行結果。所要時間: 1時間52分…910分、無事帰宅。マロンは元気で夕散歩も元気に歩く。

 

  峰山 山行記 (2003.3.13)

 マロンは昨日、満4歳の誕生日を迎えた。

 免疫抑制剤投与をやめて既に2週間。療養ドックフードには活性炭カプセルと肝臓エキスを追加しているがマロンは毎回、待ってましたと平らげて朝夕の散歩にも遅れずに付いてくるようになった。
 昨年末は腎機能悪化で食欲と体重が低下。フンはドロドロ、寝ていてもブルブル震える様子から誕生日まで持たないと覚悟していたのに・・・・。

 このところ、スギ花粉がピークで少々気が重いが、マロンの具合が良さそうなので前回の「嵐山」に続き再び、低山・短コースを歩かせることにする。低山・短コース・近場という条件では対象の山を見つけるのに苦労。おとーさんは「早戸大滝」を推薦したが、結局はおかーさんが見つけた相模湖南にある「峰山」に決定。…・山行記は略。
…………930分、無事帰宅。久しぶりにマロンを洗う。

 

 午後、マロンの体調確認の為、動物病院に出向き血液検査を依頼。5分ほどで院長がにこやかに「腎機能がやっと好転」と結果を教えてくれた。(BUN:106.675.9 CRE:6.144.05)
赤血球等の数値は未だ許容値を大きく外れているがCRE(正常値は0.51.8)が好転してきたのがうれしい。

  鹿倉山 山行記 (2003.5.29)

 前回の馬頭刈山は家で留守番していたマロンだが、相変わらず食欲と気力が出ない。
朝散歩では近くの尾根に登るのに毎回、おとーさんに担いでもらおうと待つようになった。そんなマロンに付き合ってばかりいて私たちの体力が低下し始めたのでマロンに留守番させて「鹿倉山」に出かけることにした。…山行記は略。
 1050分、家に戻る。出発時には同行したそうにチョッと吼えたマロンが、帰宅時は拗ねているのかゴロ寝のまま目だけで出迎えてくれた。

  矢平山 山行記 (2003.6.3)

 このところ、マロンは小康状態。…で、留守番の時間を少し増やしても良かろうと、登降に5時間ほどかかる「高柄山」にマロン抜きで登る計画を立て準備を整えて就寝。

   夜中1時、マロンが吐瀉。その後は落ち着いて眠ったので、予定通り出発することにはしたが、所要時間の少ない「矢平山」に対象を変えることにする。…以下略。

  白州 日向山 (2003.7.16)

  マロンは今回の血液検査では最悪データーを検出されながらも見た目には元気。スリムにもなり、散歩の規模も縮小しているが、猫や鳩を見ればきおい立つ元気さは見せてくれる。
このところ、マロンの体調が安定しているので、ひとり留守番役を担当させて、かねてより目を付けていた甲斐駒近くの「日向山」に出向くことにした。…・7/6 満月に近い月の下、マロンの朝フン散歩を終え、マロンが療養ドックフードに気を取られている間に静かに車で家を出る。時計はまだ3時。…・山行記は略。…12時、無事帰宅しマロンの熱烈歓迎を受ける。

  榛名山 (2003.10.3)…山行記は略。

 渋滞にも出遭わず125分、無事帰宅。マロンはデッキで昼寝していた。

 

       翌日あたりから吐き気が始まった。

 

10/5  朝夜フード食べず。夜ふん無し。
10/7
  吐く。散歩は家周りのみ。
10/10
  吐く。
10/12
  昼頃吐く。
10/14
  食欲なく夕方に半食。
10/17
  朝食を昼頃食べて夕方に吐く。
10/19
  朝食を昼頃食べて3時に吐く。体重は10.8kg
10/22
  3時頃少し吐く。
10/24
  明け方吐く。
10/28
  夜7時吐く。
11/1
  数日間食欲がない。9時吐く。胃液(?)に血が混じる。
11/4
  食欲なく、少しふらつく。胃液(?)に血。夕食に鶏肉を少し食べる。
11/5
  腹部に痩せが目立ち始めた。朝食に鶏肉少々。
11/7
  2日間食べず。午後黄色液を吐く。朝夕の排尿便は庭ではしないので抱いて外でさせる。水を飲もうとするが辛そう。口に注ぐと飲む。
11/8
  朝フンしたそうにするが出ず。水を飲む。黄色液を吐く。餌には顔を背ける。夜10時、外に出に出たがり排尿を試すが出ず。
11/9
  朝1時と4時ころよろめきながら起き立つ。抱えてフン散歩に出たが無し。8時過ぎ、足と喉の汚れを洗う。その後、黄色液を吐く。139分、容態が変わり、30分位で息を引き取る。

 

………………………・・

 

  乾徳山 (2003.11.14)…山行記の序文。

山歩き主要メンバーの「コーギー犬・マロン」は腎機能低下の末、119日昼、私たちの手の中で息を引き取った。
近所の犬仲間の方たちから頂いた花に囲まれ眠っているように見えた。骨は近くの桜の木の下に散骨。

マロンは気持ちの優しい犬だった。