定年退職を前に夫婦で「東海自然歩道」を歩き始めた。自然歩道の起点「高尾山」より歩き始めて3日目あたりに「丹沢山塊通過コース」があり、自然歩道ガイドブックでは東海自然歩道3大難所の1つと書かれている。

 

 

私達夫婦はこの「東海自然歩道歩き」を開始する約3年前、この「丹沢」で山歩きの楽しさを知って、ほぼ毎週、丹沢の山道を歩きまわっていたので、丹沢山塊の中の東海自然歩道ルートは特に意識もせず、断続ながら旧道も含めて何回も歩いていた。

 

最近、おしどり夫婦「東海自然歩道の旅」と題する道中記をホームページに掲載しはじめたことより、この「丹沢山塊通過コース」も追加することにしましたが、上記理由で短ルート毎の分断記事である事をお断りいたします。

(ご参考までに自然歩道のサブルート及び旧ルートも記載します。)

 

距離と標準時間(時間は昭文社の丹沢地図記載時間で健脚者レベルです)

西野々→(3.7km 2:00)焼山→(2.1km 0:45)黍殻山→(2.8km 1:00)姫次→(5.6km 2:35)神ノ川園地→(2.2km 1:10)犬越路→(2.4km 0:55)用木沢出合→(1.8km 0:25)西丹沢自然教室→(1.6km 0:30)箒沢→(1.0km 0:15)大滝橋→(2.5km 1:40)一軒屋避難小屋→(1.6km 0:45)大滝峠上→(1.5km 1:10)畦ヶ丸→(0.6km 0:25)モロクボ沢の頭→(2.0km 1:05)城ヶ尾峠→(3.8km 2:00)菰釣山→(7.4km 3:05)高指山→(2.9km 0:55)平野……・合計45.5km 20:40

 

西野々←焼山←姫次←風巻の頭←神ノ川園地(日陰沢橋) (‘94-5/25/3

5月連休前日に「蛭ヶ岳山荘」に宿泊予約の電話をしたが、「連休は1枚の布団に3人寝てもらう」との話に呆れて、テント泊での「日陰沢橋→蛭ヶ岳→西野々」コースの山歩きに計画変更。52日朝、息子に車で日陰沢橋まで送ってもらう。

730分、「神ノ川園地」をスタートし「風巻の頭」に向かい登坂開始。東海自然歩道は良く整備されている。「風巻の頭」には屋根のある休憩舎あり。

数人の登山者に出会うが、連休にしては少ない。「袖平山」山頂脇を通過して「姫次」着。南西方向に大きく展望が開ける。

一息入れて「蛭ヶ岳」方向に向かう。「原小屋平」でここをキャンプ地と決め、ザックを木陰に隠しカメラと水だけで「蛭ヶ岳」に向かう。山頂手前で山稜を乗り越して流れるガスを撮影。

4時、「蛭ヶ岳」着。山荘の泊まり客に込み具合を尋ねたら10人程度との事。サエナイ天候に予約キャンセルが多発の模様。丹沢あたりでは天候の変わり目がハッとする景色を見せてくれるのに。

5時半、「原小屋平」に戻り野営の準備。東斜面を7分程下ると水場あり。

6時半、夕食を終えテントに入る。夜12時頃、寒くて目が覚める。ココアを暖めバナナを食べ新聞紙を安物シェラフの下に敷き、空ザックに足をいれ再び眠る。

5時、ウグイスなど小鳥の声に目覚める。6時、「姫次」に向かい出発。

 

「姫次」で遠方の「犬越路」をガスの大滝が手前の「日陰沢」に流れ込むダイナミックな風景に遭遇。

1時間ほど撮影を楽しむ。気が付くと8時。「西野々」のバス時間が気になり、下山開始。全般的によく踏まれた山道を下る。途中、「黍殻山」に立寄るが見晴らしはなし。ダラダラ下りの後、11時半に「西野々」着。

バスで橋本経由厚木へ戻る。

 

神ノ川園地(日陰沢橋)←犬越路(‘95-1/14

7時、日蔭沢橋に車を置き、「熊笹の峰」を目指して登り開始。山に入ると直ぐに鹿に遭遇。3時間弱掛けて「熊笹の峰」に登りつき朝日を浴びる。今年は雪が少なく北斜面でも霜柱程度。1115分、「桧洞丸」山頂に到着。昼食を摂り20分程の滞留で「犬越路」へ向かう。大簪、小簪への下りは鎖場もある急坂だが浮き石は少なく景色の好い山道。

3時間程で「犬越路」に到着。標高1060m。その昔、武田信玄が小田原の北条氏康を攻めた時、軍犬を先導させた峠といわれる犬越路より北方の日蔭沢に下る。

杉林の中の登山道を下ると、しばらくガレ石ルートを通過する。ヒカゲ沢右岸を10分ほど下り傾斜が緩くなる頃、前方に広い河原が現れ神ノ川園地(日陰沢橋)に着き車に戻る。

 

犬越路→用木沢出合→西丹沢自然教室(‘98-5/21

「桧洞丸」のツツジを撮影すべく西丹沢自然教室前に車を置く。「つつじ新道」を2時間ほど登った「展望園地」の先あたりから、狙いの「トウゴクミツバツツジ」が紫紅色の花を見せる。「シロヤシオ」は早くも終焉。今年は2週間ほど早い開花。例年の撮影ポイントでシャッターを押す。桧洞丸山頂から犬越路への下りはじめのツツジも見事。熊笹の峰より56ヶ所の鎖場を通過し最後にスズ竹の中を抜けると犬越路に着く。

例により避難小屋を覗く。内部は奇麗に維持されていた。峠からは南へ進む。水の無い沢の右岸沿いの山道を下り続けると、やがて開けた河原に下りきる。下流に進み右岸のアルミ製歩道橋を辿り、最後に用木沢公園橋を渡ると用木沢出合に着く。広い舗装道路を25分ほど歩き西丹沢自然教室の車に戻る。

 

大滝橋→大滝峠上→畦ヶ丸→(自然歩道サブルート)善六のタワ→(自然歩道サブルート)西丹沢自然教室→大滝橋 (`95-1/21

5時に家を出て「大滝キャンプ場」前へ駐車。630分、「一軒屋避難小屋」経由で「大滝峠上」に向かい歩きはじめる。今年は積雪なく歩きやすい。「大滝峠上」と大滝峠間は未踏破区間だったので往復する。

スズ竹で薮こぎを強いられた。半食後、「畦ヶ丸」まで登ることにする。畦ヶ丸避難小屋に10時頃到着。残食で昼食。同じ道を帰るのはつまらないと言うワイフの提案で「善六のタワ」、「西丹沢自然教室」経由で車に戻ることにする。

自然教室ではブラついていた秋田犬(捨て犬?)にパンを与えたら、離れなくなり大滝橋の車まで40分ほど同伴してきて困る。

 

城ヶ尾峠←→大界木山←→モロクボ沢の頭←→畦ヶ丸 (‘94-2/5

5時家を出て、道志道から道志の森キャンプ場方向に車を回した途端、アイスバーンでスリップ。即、チェーンを装着し強引に水晶橋まで車を乗り入れる。8時、城ヶ尾峠に向かい登山開始。北斜面の登りの為、15cm程の積雪があり結構負担になる。

1.5Hで城ヶ尾峠に立つと冬の世界が突然春に変わった感じで南斜面の熊笹は朝日に雪を溶かしてキラメイテいた。

城ヶ尾峠より尾根を東に辿り、わずかな登りで一本のブナの枯れ木が目立つ大界木山に立つ。この先は2つ小山を越して、モロクボ沢の頭経由で畦ヶ丸へは12時に到着。昼食を摂り往路を戻る。

 

菰釣山→城ヶ尾峠→大界木 (‘94-5/7

3時半、家を出る。5時、水晶橋に車を置き林道を西に向かう。後ろから朝日が昇る。林道終点より山道で尾根を目指す。

菰釣山避難小屋脇へ登り着き、小屋を覗く。宿泊者はなく、整頓されていた。

菰釣山からは富士山が見事。山頂より南へ踏み跡があるのに気づき200m程様子を見に入る。菰釣山を後にして、小屋前へ戻り、大界木山へ向かう。途中、ブナ沢の頭、中の丸、城ヶ尾山を経由するが、上り下りも少なく、左右に見晴らしもある尾根道で気持ちの良い山道だ。大界木山へ一登りし記念写真の後、往路をわずか戻り、北に分岐の踏み跡で平指山への道に入る。

ブナの若葉の緑がすばらしい。雑木の頭で鳥の胸山への道と別れて左へ下る。途中、水晶橋へ直行する下山路を見落とし、大回りして水晶橋の車に戻る。

 

大界木山→城ヶ尾峠→(旧東海自然歩道)信玄平→(旧東海自然歩道)大滝峠上→畦ヶ丸→モロクボ沢の頭→大界木山 (‘94-5/21

420分、家を出る。前回大界木山を訪ねた折、この山の下へ林道が伸びているのを見付けた為、道志道からこれへの車の乗りいれを図る。推測通り、奥まで林道が繋がっており大界木山近くまで入ることが出来た。

6時に大界木山を振り出しに山歩き開始。新緑のブナの中を城ヶ尾峠、信玄平と進み地図に「経路荒廃」と書かれている旧東海自然歩道へ歩を進める。

現地看板にも「大滝峠より信玄平間は沢多く登山経験者向きのルートです。通行注意。神奈川県」と書かれていた。

確かに道は崩れ倒木が道を塞ぎ、笹が手や首に擦れるが踏み跡は辿ることが出来る。途中、あみがさ茸を見付け採取。

進路が塞がれれば戻る覚悟で「赤沢」、「戸沢」を横切り「水晶沢」標識を目にして、何とか大滝峠上へ抜けられる事を確信。

この道は廃道とされやがては自然に帰りそうだが、よい風景を見せてくれた。

ついに通り抜けた先にも県の注意看板が立っており、その脇の草むらに倒れていた白地の看板を拾い上げて見ると赤文字で「熊に注意」と書かれていてビックリ。写真に収める。

大滝峠上で半食し、モロクボ沢の頭で残りを食べ大界木山経由で車に戻った。

 

菰釣(こもつるし)山→大棚の頭 (‘94-2/11

4:30に家を出て、道志道で山伏峠へ。トンネル先空き地に車を置き、6:15より約5km、道志道を戻り白井平よりキャンプ場への道に入る。先ずは「前の岳」へひと登り。北斜面で積雪が凍っているので、軽アイゼン(4つ爪)を装着。はっきりしない山頂を越しカラマツ越しに富士山が見える頃、東海自然歩道が通過する「ブナの丸」着。左上に「菰釣山」が望める。この区間も未踏破の為、20分程かけて「菰釣山」に登る。小高い山頂は太陽が当たり見晴らしもよく、早い昼食を摂る。

10:30、「菰釣山」をあとにして「ブナの丸」経由で「大棚の頭」に向かう。この区間は東海自然歩道ルートに指定されている。途中は「油沢の頭」、「樅の木沢の頭」、「西沢の頭」、「西の丸」と山頂名はあるが、さほどの上り下りはない。右手には「御正体山」が望め、左には丹沢山塊が広がり道はよく踏まれていて歩きやすい。南斜面は雪が消えて笹がそよ風にゆれているが、北面は雪が深い。「水の木」分岐標識を「山伏峠」下山路と地図を読み違えてムダ足を踏む。「大棚の頭」で山中湖と富士山を写真に収めて愛車の待つ「山伏峠」に下る。

 

大棚の頭→高指山 (‘94-8/15

お盆連休の中日。暑さを避けて早朝の御正体山登山を計画し3時過ぎに家を出る。道志道を山伏峠へ走り450分、登山開始。山伏トンネル上への道を探し、「奥の岳」へ向かうも伸び放題の下草を濡らす昨夜の雨で全身ずぶ濡れになり、1時間をムダにして目的地を高指山へ変更。

トンネル上を戻り「大棚の頭」に出る。山はガスに包まれはじめ、太陽が姿を隠す。南西へ伸びる東海自然歩道の尾根道を1時間程歩き、バラシマ峠経由で「高指山」に立つ。

山中湖を前にして赤い溶岩の富士山が大きい。ワイフの提案で切通峠まで足を伸ばす。往路を戻り「大棚の頭」に登るもガスで見晴らしは無かった。昼過ぎ帰宅。

 

平野→高指山→大棚滝 (‘96-3/31

大棚滝へ繋がる道を全て歩いてみようと今回は平野に車を置き、東海自然歩道に指定されている山道を使い切通峠を目指す。途中、高指山に寄り富士山をカメラに収め、切通峠から東へ下る山道に入る。やがて山道は切通沢沿いの林道に繋がり特に問題個所なく、大棚滝を訪ねる事が出来た。

 

丹沢についての参考情報

1.避難小屋
自然歩道沿いに6つの避難小屋が設置され常時開放されている。小屋前を通過する度、内部を覗いて見ますが、いずれの小屋もきれいに維持されています。宿泊人数max.10人程度で小屋にはノートが置いてあり、利用者が宿泊感想文を残しています。これでみる限り、満員で泊まれないケースは無さそう。残念ながら尾根筋の避難小屋近くに水場はありません。(一軒屋避難小屋は近くに沢あり。)

 

2.積雪
最近6年間の経験では、自然歩道ルートに限ればmax.15cm程度だった。但し、北斜面などでは積雪が凍ることも多く、冬季の通過は軽アイゼン(4つ爪レベルで可)を持参すべき。

 

3.山蛭

`95.5.14 奥野隧道から焼山を訪ねた折、「柏原の頭」(焼山の東側)休憩所で初遭遇。

<状況>下草の多いジメジメした窪地を通過後、テーブルの設置された休憩所でザックを降ろし、何か異常を感じて靴下を下げたワイフが悲鳴。2枚の靴下の下に蛭2匹が血を吸う寸前。取って捨てたが、テーブルの端から別の蛭が急接近。蛭が尺取虫の動きで秒速10cmほどのスピードで動けるとは思いがけない事であつた。早々に休憩を切り上げ先に進む。焼山登頂後の帰路、同じ柏原でワイフが再び悲鳴。何時の間にか3匹が靴下の中に。なぜワイフに集中したのかは推測の域をでない。当日、スパッツは二人とも未着用。共に革靴で靴下は2枚着用。 (他の場所では‘94-10/2に唐沢林道の黒岩あたり(大山の北方)でワイフに5匹ほど付着)。

 

4.獣…・丹沢の案内書には熊、カモシカ、猪等も書かれているが、私は遭遇していない。

 

<鹿>明け方、山を歩けばかなりの頻度で遭遇できる。冬は積雪で食料不足となり、中腹に下りてくる為、遭遇頻度は高く、早朝の山の車道でさえ小鹿に出会う事もある。

雌の群れと出会うケースは多いが雄鹿は警戒心が強いのか単独生活のせいか姿を見せるのは雌の1割程度の頻度。鍋割山や不動の峰あたりではよく出会う。塔の岳には登山者に餌をせびる堕落した数匹がいる。

 

<リス>小さくてすばしこい為、チラリとしか姿をとらえられないが、12/年程度遭遇。

一の沢峠から大山に南下する山道では56匹が木の実を採り、遊んでいる所に出会い、やっと一匹を撮影。

 

<野兎>冬、積雪の上で足跡を見るケースは多い(表尾根の二の塔南斜面や大石山など)が、現物にはなかなかお目にかかれない。私は焼山へ登る途中の一度だけ、夏毛の子ウサギに出遭った。

 

 

<猿>10頭位の群れに三度遭遇
   (辺室山南の林道、広沢寺温泉近く、物果山)

    単独猿(雨山橋近く)

 

<狸>「塔の岳」南方に流れる四十八瀬川の丹沢国定公園境界あたりで子狸をつれた母狸と遭遇。

<ハクビシン?>大山から不動尻へ下山中、森の中の右斜面下からタヌキに似た獣がこちらに登ってきた。大岩の陰に入り姿を見失ったが白毛があつたようなのでハクビシンだったのかも。

<???? >明け方、ユーシン目指して玄倉川沿いの林道を車で走っていたら、ライトの中に黒茶の獣が車と同方向にモタモタと走って逃げていった。