季節の変わり目に夫婦交代で風邪をひいた。二人から風邪ッ気が抜けた時には既に2月は末日。

スギ花粉が本格化する前に久しぶりに山を歩こうと対象の山を物色し、埼玉県の名栗湖近くの「有間山」にターゲットを絞る。

 

 

◇所要時間: ×時間××分
◇難度(マロンとして): 易++▼++難
◇マロンの日記: 今日のマロンの行動は…誰にも教えられません。

昭文堂地図によれば「有間山」の山名はこの山地の総称で、最高地点は「タタラノ頭」と表示されているが、国土地理院地図では最高地点に山頂マークが記され、山名は「有間山」となっていた。なお、「タタラノ頭」の山名については、谷 有二著「山名の不思議」に下記記事があった。

タタラのつく山で一番標高の高いのは、埼玉県入間郡名栗村にあるタタラノ頭だ。ここからはタタラ製鉄跡こそ発見されていないが、山麓の名栗川流域には、鍛冶屋に関連する地名と一ッ目伝承が示すごとく金属業者がたくさん住んでいた。

 

340分、家を出る。埼玉県南部の天気予報は町田市と同じく前夜半から日中にかけて「晴れ」予報だったのに夜空に星は見えない。青梅市経由で名栗湖先の名郷を目指す。

今日の山行コースの名郷から鳥首峠登山口間には名郷近くの大鳩園キャンプ場の駐車場以外に駐車可能地は無いらしい。今回はこの有料駐車場に車を預け、有間山、蕨山と周遊する予定で家を出たのだが、まだ夜明け前に名郷に到着してしまった。

下山予定地の蕨山登山口には5台程度の空き地があるとのネット情報を思い出し、今日は車を蕨山登山口に置き、名郷経由で当初予定のルートを歩くことに計画変更し、蕨山登山口に向かう。

舗装路は直ぐに砂利林道に代わる。荒れた砂利道を終点まで上りつめ、真っ暗な蕨山登山口の空きスペースに駐車し出発準備を整える。

(右の写真は下山後に撮影したもの。)

 

540分、ヘッドランプを点灯して名郷へ下る。

10分ほどで名郷の四差路に下りきり、「白岩渓流園キャンプ場 2km」標識が指示する車道に進む。

今日の日の出は610分前後の筈で既にランプは不要となりザックにしまう。

6時、大鳩園キャンプ場・駐車場前を通過。これより先の舗装路沿いの空スペースは全てに有料駐車場の看板か駐車禁止看板が立っていた。

 

620分、「白岩渓流園キャンプ場」前を通過。キャンプ場入口は半開されており、この場内にも有料駐車場らしい広場が見えた。早朝なのに石灰石運搬の大型トラックに追い抜かれた。

635分、石灰石採掘所の大きな構築物手前の階段前に「有間山→」標識があり、「ハイカーの皆さんへ クマ注意」看板も掛かっていた。

 

採掘所に沿って階段や急坂を登っていく。気温は0度で完全な曇り空。

655分、杉林の中の九十九折の山道を上りきると山道沿いに廃屋が見られる。白岩廃村らしい。この先には人の気配が無いのでマロンをフリーにし、トランシーバーでマロンを呼び返すテストを繰り返しながら上る。褒美のビスケットに目がくらみ、マロンは良く反応するようになっている。

 

7時、僅かに流水のある荒れた沢を通過。地図に水場マークのある地点らしい。

沢先でザレた急坂を上り、更に沢沿いに上り続けると、この地域の保安林範囲を示す看板前を通過。地形が丁寧に表記されていたので、今回の山行記録の参考になるかもと、写真に残す…()

 

杉林の中を九十九折で上っていくと前方上の木立の間に曇り空が覗く。鳥首峠に近づいたらしい。

気が付くとマロンは斜面の遥か上を登っている。トランシーバで呼びかけたが反応することなく、姿が見えなくなった。

 

735分、鳥首峠に到着したがマロンがいない。大声と笛で呼ぶと数分して峠先の冠岩方面から上ってきた。いらぬ心配を掛ける奴だ。

峠には「大持山・有間山・冠岩,川俣・白岩」の分岐標識と小祠があった。

私達は「有間山→」標識に従い、方向を南に代えて尾根筋を前進。

743分、高圧線鉄塔下を通過。

尾根筋の風は冷たく、ウインドブレーカーのフードを被る。ルートは一本道らしいのでマロンの先行を許す。

ロープに頼らないと通過困難な高度差20mほどのザレた急坂の下に着いたら又、マロンの姿が見当たらない。急坂を巻くような形で僅かな踏み跡が斜面沿いに右に伸びている。マロンはこの踏み跡に突入したのではと急ぎマロンの名を呼んだがマロンは姿を現さない。

 

念のため、妻が坂上に登りその先を調べ、私は坂下から踏み跡方向に大声で名前を呼んだり、笛を吹いてマロンの戻りを期待したが、何の反応もない。私も坂上に登ってみたが、マロンが自発的に駆け上がるようなやわな坂道ではなかった。二人とも坂下に戻り、私が空荷で鳥首峠間を往復しながら呼んでみたが反応なし。

坂下に戻って防寒対策の上、妻はこの地点に留まり、私は踏み跡方向を探索することにした。念のため、携帯電話の電源を入れ、マロン発見者からの通報に備えた上で踏み跡方向に進む。踏み跡は50mほど先で斜面を横切る細い獣道になり、その上に残雪が凍っていて前進困難になった。気のせいか遥か先から犬の吼え声が聞こえたような気がした。急ぎ、坂下へ戻り6本爪アイゼンを付け、山腹に延びている獣道を慎重に辿る。凍った雪に鹿の足跡が多数残っていた。

大声でマロンを呼びながら更に獣道を辿ると凍っていない雪面に鹿の足跡に混じって犬らしい足跡。更に進むと前方から微かに犬の鳴き声。下界の里犬の声かもと思いつつも、大声で呼びながら斜面に落ちないよう注意して前進。

前方の森の中からヒョイとマロンが現れた。足元に来たのでビスケットを与える。マロンは少し疲れた感じ。注意して獣道を戻る。

855分、マロンと共に妻の待つ地点に戻る。この間、全天の雲は厚くなり、風花も舞いはじめた。マロン捜索にほぼ1時間を要したので「タタラノ頭(有間山)」まで行くのは諦め、「橋小屋ノ頭」、「蕨山」経由で車に戻ろうと提案したが、妻は天候が不安だしマロンの迷子で先に進む意欲をなくしたという。今回は妻の気持ちを尊重し引き返すことにした。

何はともあれ、マロンが戻って何よりだった。行方不明にでもなったら何日かはこの山に通い詰めて捜索活動しなければならなかったのかもなどと話しながら下山。

1030分、車に戻る。

1240分、帰宅。

 

山行翌日、登山途中で撮影した保安林表示看板の写真を調べたら、白岩渓流園裏から南の保安林帯まで山道があり、その地点から保安林境界沿いに尾根を東に高度差で200m上りきれば蕨山からの下山路に抜けられることが読み取れた。

この経路が使えれば、舗装路や名郷の街を歩かずに周回ルートが出来るので、次回の「有間山」山行には試してみたい気持ちになった。

  山・2