谷川岳の北にある「大源太山」は昭文社の山地図に「上越のマッターホルンと異名を持つ鋭峰」と注記されていて形が良いらしいので一度は登ってみたいと思っていた。
・・・が、地図には沢の渡渉や鎖場表示もあり若干、慎重に情報を収集。

10月の3連休は晴天で翌水曜日も快晴の予報。メンバーの体調も悪くなく、これで平日の早朝登山ならば犬連れでも許されるだろうと出発を決める。

 

 

◇所要時間: 5時間27
◇難度(マロンとして): 易+++▼+難
◇マロンの日記: 
沢を大石伝いで跳び渡るのは怖くて・・・()。→往復ともおとーさんに抱いて渡渉してもらいました。
頂上近くの鎖場は何と言うことも無く通過。おかーさんは 大源太山は「忘れられない山」になったと言っていました。

 

230分、18夜の月を眺めながら出発。 入間ICで圏央道に入り、関越自動車道の湯沢ICを下りる。路肩の「大源太キャニオン」案内看板にガイドされながら県道361号線で大源太湖方向に向かう。

 

旭原の路肩に大きな「大源太山登山口→」標識を見つけ、1車線の舗装林道に進む。終点は10台ほど駐車可能な空き地で一番乗り。近くに「大源太山登山口」標識を見つけた。 気温は12度。無風、快晴。歩くには十分な明るさになっていた。

 

533分、準備を整えて杉林の中に出発。

杉林の中、かなり平坦な山道だが見通しが得られないのでマロンはひも付き。

545分、地図に「丸木橋」との表示箇所には簡易な鉄橋が架けられていて安心して対岸に渡る。ごく最近に敷設されたらしく傍らに旧丸木橋が横たわっていた。

552分、小沢を2つ通過。

65分、倒木に多数のキノコが群生していた。月夜茸かと思って割ってみたが黒シミが無く、立派なヒラタケ。写真を撮って先に進む。

 

67分、地図に渡渉点と書かれた地点に到着。前2日は晴天だった筈なのに結構、水量が多い。大石の飛び石の上に虎縞ロープが張られている。

試しにおとーさんが先行して、対岸からマロンをリードで引っ張ってみたがマロンはハーネスを抜けて逃走。仕方なく戻ってマロンを抱き、膝程度の浅瀬を探して全メンバーが靴のまま渡渉。

対岸で小休止して靴下の水を絞り、太目の尾根筋を上り始める。かなりの急坂で至る所に虎縞ロープが垂らされている。

 

見通しが良いのでマロンをフリーにすると増量したザック重量をものともせずに見る間に急斜面を跳ね上がって姿が見えなくなる。

・・・で、都度、トランシーバーで呼び返してマロンの体力損耗を図るが殆ど効き目が現れない。

 

岩や木の根を踏みしめて上っていく。徐々に岩と木の根の急坂は破砕岩の急斜面に代わってきた。200mほど高度を稼ぐとやっと傾斜が緩み始めた。

78分、山腹を上り詰めて尾根筋に出ると、朝の太陽の左に大源太山が姿を見せた。マロンをひも付きにする。数本のブナの大木が並んだあたりで左右に少し展望あり。

ガイド書によると「ゲンタ」とは方言で、四角い木材のことを言い、山容が角ばっていることから名づけられた。と書かれていたが、言い得ている感じの山だ。

再び急坂を上る。大きな段差もあるのでマロンをフリーにすると水を得た魚よろしく急な崖でも簡単に飛び跳ねて木陰に消える。・・で都度、トランシーバーで呼び戻す。

 

741分、樹林帯を登りぬけると周りの潅木の背丈が低くなり、展望が利き始めた。前方には大源太山がシルエットでどっしりとした姿で鎮座。北斜面は切れ落ちた岩壁に見える。これより弥助尾根を辿って山頂を目指す。

朝の太陽が正面から照りつけるので眩しくて周りの景色はよく見えない。岩交じりの痩せ尾根も通過するので展望鑑賞は下山時に回して、先ずは足元だけに注意して上っていく。

810分、露岩の山斜面を上るようになった。

819分、地図に危険マークが付いていたので心配していた露岩斜面の鎖場に到着。天候に恵まれているせいか鎖に触ることもなく通過。

急斜面の上にチラリと標識らしいものが見える。山頂は近い。

 

830分、「大源太山 1598m」山頂に到着。

山頂は5×10mほどの岩混じり平坦地で360度の展望が得られる。相変わらずの無風、快晴。

ガイド書には東西南北に見える山々の説明図が載っていたが、その通りの景色が眼前に展開。

先ずは山頂での記念写真を撮り恒例にしているムスビを食べながらの山座同定を楽しむ。
(見えた山々: 巻機山、朝日岳、仙ノ倉山、谷川岳、一ノ倉岳、茂倉岳、万太郎山・・・等々)

同じコースで一人の中年登山者が山頂に到着。

 

843分、マロンをひも付き犬にして下山を開始。

下山は太陽を背にして下るので朝の斜光が山稜を浮き立たせて、見映えする景色が眼下に展開。

フト気がつくとマロンの背中のトランシーバーが無い。マジックテープで2重に固定した自信作だったのにビックリ。幸い、まだ山頂から80m程の高度差だったので私だけが探しに戻る。山頂近くで見つけ確保。このトランシーバーで下に待機のメンバーに呼びかけてみたら何故か無反応。合流後、調べたら何故かチャンネルが狂っていた。

92分、鎖場を通過。往路では目に入らなかったが、道脇の潅木類は結構色づいている。左の七ツ小屋山への稜線が綺麗。

弥助尾根に分かれるあたりで中年女性の二人連れと交差。マロンは撫でてくれたご婦人にピッタリくっついてその人の犬のよう。人好きが過ぎる犬だ。

虎縞ロープの張られた破砕石の急斜面はマロンを横に従えて(後へ!!と命令しても我慢しきれずに横に顔を出してくる。)、スリップしながら下る。

途中、同年輩の男性登山者と交差。挨拶すると「前日に沢まで登って来たが水量が多いので登山は今日にした」とのこと。

滑りながらも急斜面をなんとか無事に下りきり、沢の渡渉点に到着。

 

マロンの眼下が落水地点

先ずは私がマロンを抱き渡渉。

朝より上流を渡ったら予想より深くて対岸手前では腿以上の深み。腰に付けたカメラケースまで水がきたので対岸で先ずはカメラを確認。カメラは無事だったがボイスレコーダーは浸水でアウト。

フト、振り返ると、妻が飛び石の間に落ちていて急流に足を取られて仰向けで虎縞ロープにぶら下がっていた。

急遽、上流から助けに入り、ザックを引っ張ったが水勢で立ち上がれない。何とかしようと頑張っているうち、私も足をさらわれて二人一緒に淵に流された。幸い腹程度の深さで渡渉完了。岸からはマロンが驚いて眺めていた。

兎に角、怪我も無く渡渉できてよかった。これを話題にしながら森を通過し車を目指す。

11時、車に戻る。マイカー以外は皆、新潟No.の車だった。

 

車の屋根で濡れた衣類を乾かして帰路に着く。旭原の村を通過しながら振り返ると立派な「大源太山」が見送ってくれた。

230分、無事帰宅。