台風22号は本土に大きな爪あとを残し過ぎ去った。直後に待望の二日連続の好天予報。これで何時かは実現させたいと考えていた「白石山(和名倉山)」」への山中一泊山行の条件が整ったので金曜日の出発を決める。

この山は標高2000mオーバーで行程も長く、私たちの体力では日帰り困難で山中泊せざるを得ないが、このところの山行でキャンプ道具を背負う体力は出来たようだし、これ以上寒くなると我が家の装備では耐えられなくなりそうなこともあり、このタイミングを逃してはの気持ちで思い切ることにした。

 

歩行時間:1日目8時間 2日目4時間
難度(犬として): 易++▼++難
マロンの日記: 将監小屋までは砂利林道、山ノ神土へは足に優しい山道で楽でしたが、その先のリンノ峰の横を抜けるまでは密生笹のトンネルを通過しているようで倒木もあり、苦戦しました。
その先は岩稜帯もありましたが見晴らしが利き、気持ち良く歩けました。
倒木ゴロゴロの薄暗い山頂からキャンプ予定地に戻り、狭いテントの中で夜を過ごしました。夜中に近くでヒョー・ヒョーと啼く奴がいたのでテントを出て確かめようとしましたが、おとーさんが「鹿だ。へたに誘われると迷子になるぞ。」と出してくれませんでした。残念!!
夕食や朝食時にはハシャギ過ぎだと叱られましたが、テントの旅は楽しくて気に入りました。

<山名>
国土地理院地図に採用されている「白石山」の山名は甲州側の呼び名で山頂付近の露岩の白石に因んで付けられているが、地元では古くから「和名倉山」と呼んでいるとのこと。

 

1022

4時、家を出る。国道411号線(青梅街道)で奥多摩湖を通過し、丹波山村役場の約10km先の右折分岐路で「一ノ瀬高原→」標識を見つけ、「林道一ノ瀬線」に進む。

6km先の三ノ瀬の「民宿みはらし」対面の廃屋入口とも見える場所に「将監峠 雲取山 笠取山→」表示板を見つけた。

舗装路を更に900mほど進むと路肩に8台程度の駐車スペースありとHPに書かれていたので、舗装路を先に進んだら、約300mで道脇に2台ほどの空きスペースを見つけ、駐車。(HPで調べると500円払って民宿駐車場に留める人が多そう…。)

650分、マロンにも400gではあるが自分の荷物を背負わせ、私たちはキャンプ道具でいつもより重くなったザックを担ぎ、舗装路を戻って先ほど確認した登山口に向かう。

 

7時、登山口で「和名倉山頂へのコースは未整備です。・・・」との注意書を読み、沢沿いの砂利林道に進む。周りはカラマツ、栗、檜の林で僅かながら紅葉が始まっていた。

727分、砂利林道から左の急斜面に山道が分岐。七ッ石尾根との分岐で地図の「牛王院下」ポイントらしい。私たちは将監小屋でキャンプ用の水を補給するため、林道を登る。

 

755分、水場に「ムジナの巣」の看板。「将監峠60分 三ヶ瀬40分」の表示もある。この地点でマロンの首輪に着けた鈴が無くなっているのに気づく。昨夜の取付け方法が拙かったようだ。熊避け対策として準備してきたのに残念。

上るに従ってカラマツが次第に色づいてきた。

815分、沢を渡る。南に富士山と鶏冠山が現れた。雲ひとつ無い好天に恵まれて気持ち良い。

842分、将監小屋と将監峠への分岐点を通過。キャンプ道具で重く感じたザックもいつの間にか身体の一部と化して気にならなくなっていた。

 

845分、将監小屋に着き、3リットルボトルにも水を補充。

ここからは二人で計5kgの水を担ぐことになる。

小休止後、「←笠取山、将監峠  飛竜山、雲取山→」標識に従い、草原の急坂を登る。ザックが随分重く感じる。

 

94分、一段上ると将監峠。「笠取山 甲武信山」への分岐。「ニホン鹿の生息地」看板あり。秋空にダケカンバの白、ナナカマドの赤い実が映える。緩く上る山道は草原を通過していく。

918分、東京都水道水源地の看板も立つ「牛王院平」の三叉路通過。

927分、「山の神土」に到着。

「←唐松尾根 笠取方面」と「白石山(和名倉山)→」の分岐点。横の立て看板には「白石山(和名倉山)山頂へのコースは未整備です。遭難事故が多発していますので、入山者は十分、ご注意ください。」と書かれていた。

ここから傾斜は緩いが、踏み跡を覆い隠す笹を掻き分けて進む。マロンは完全に笹の下を潜航して姿が見えないが、倒木箇所は自力で跳ね上がって越している。結構、山犬度が向上してきた。

 

940分、僅かに笹の途切れた場所に「これより国有林、貴重な野生動植物が生息・生育する豊かな森林「秩父山地緑の回廊」です。林野庁」の看板。一休みしているとチラリと鹿が姿を見せた。

 

102分、沢筋に流水。木の間越し前方に小さな山が見える。リンノ峰手前の無名峰らしい。

1015分、尾根に出ると笹が低くなり、歩きやすくなった。南に富士山が姿を見せる。

笹の切れ目に座ってコンビニ弁当を半食後、無名峰の山頂北側に進み、通過。左前方に北に向かって尾根が長く伸び、その先にピークのハッキリしない「和名倉山」が姿を見せた。

進路には倒木が多い。シャクナゲの緑の葉が光る。再び笹の道を進む。

1025分、三角錐の形で全面笹に覆われた「リンノ峰」に近づき、西側を巻いて進む。

1040分、尾根筋を進む。風の通り道に入ったのか、強い風が吹き抜ける。

113分、シャクナゲのトンネルを潜り、日の当たる山腹の東側を進む。

1115分、裸の尾根筋を北に登って行く。南に大きな展望が開けてきた。

1120分、山の頂。標識は無いが「西仙波」らしい。

次の「東仙波」に向かって小潅木と岩稜が交じり合った尾根が緩いカーブで延びている。僅かに下り、その先は笹の斜面の上り。

 

1127分、東仙波に到着。落ちていた「東仙波」標識を手にして記念写真を残す。細いダケカンバ林の中の小広場で、眺めがすこぶる良い。コンビニ弁当の残りで昼食を済ます。

1145分、「東仙波」を後にして、北に向かう尾根筋に出ると強い西風が吹き上げてくる。開けた露岩帯や潅木の尾根筋を北上。

1210分、林に入り、5分ほどで通過。地図に拠ると「吹き上げの頭」の西を通過しているらしい。マロンのペースは全然落ちないが、私たちはいつもより重い荷物でペースダウンしている。

この辺りから先に宿営地を見つけてキャンプ道具はそこに残して身軽で山頂往復することにし、キャンプ地を物色しながら前進。

1230分、標識は無いが、「八百平」あたりと思われる地点で、西が開けているが、風の吹き込まない平坦地を見つけ、今夜のキャンプ地と決める。

3時間程度の山行に必要な荷物以外は木陰に隠して「山頂」に向かう。

1240分、緩く斜面を下り終える。入山者が少ないせいか、山道脇のコケが美しい。

1250分、カラマツ林を登る。

1時、「和名倉山頂 八百頂上 二瀬」の方向を示す標識地点を通過。急な上りになる。

 

110分、林の中に「水場ここを下る」の手製標識が木に掛かっていた。

115分、ダケカンバやカラマツの混交林の中に「道迷い多発」の注意看板。近くの木に消えそうな字で「和名倉山→」の板標識も見つけた。

ガイド書等に最後の分岐に注意するよう書かれていたが、ここが「二ノ瀬」分岐と判明。表示に従い右折して赤テープに注意しながらほぼ等高線沿いに東に進む。

 

120分、「千代蔵ノ休場」の広い裸地斜面を横切る。雨天が続いていたせいか、斜面中央が沢状になって水が流れていた。

広い斜面の周りはダケカンバやカラマツに囲まれて、広場には幹の下の部分だけが残って白い残骸のような木々や倒木、ワイヤーロープが散乱していた。赤テープに導かれて、針葉樹林の中に進む。

 

135分、倒木ゴロゴロの原生林の中を赤テープに導かれてクネクネ進むと、樹林の中の木の幹に「和名倉山」の看板が掛かっていた。

ほぼ平坦地形なので看板が無ければ、山頂とは思えないポイントだった。

145分、往路で下山開始。

千代蔵ノ休場の斜面上を牡鹿が走っていった。

 

 

250分、キャンプ予定地に戻り、テント設営と食事つくり。

体力、気力を十分残しているマロンはおとーさんのやる事なす事に一々、口や手を出し、煩わしいこと限りない。

食事を終える頃、日没。

 

マロンは初めてのテント泊にビックリして中々落ち着かない。

テントの前室に寝かす予定が、結局はマロンを中にして川の字で眠ることになった。

 

長い夜が始まり、1,2時間ごとに目覚める。

夜空にも雲は見当たらず、8日の月と星が輝いていた。

1023

4時過ぎには起きだす。外気温は2度。昨晩は鹿の声に都度、マロンが反応したので、2時頃までは寝た気がしなかったが、みんな元気に朝を迎えられたので、良かった。

晴天だったが、テントは夜露でビッショリ。火を使わずに朝食を済ませた。

6時、帰路に出発。マロンは何故か興奮気味で僅かな空き地を猛スピードで走り回っていた。昨晩は鹿がこの場所まで様子見に出てきたのかも・・・。

 

7時、東仙波を通過。ここからの眺めの良いのを再確認。空は雲に覆われ始めた。

85分、山の神土を通過。牛王院分岐からは七ッ石尾根での下山を予定していたが、往路で紛失したマロンの鈴が見つかるかもと往路と同じ道を下ることにした。

825分、将監平からは将監小屋を通らずバイパス山道で下山。じきに小屋経由の林道に合流。

 

「ムジナの巣」あたりでマロンが鹿のフンを食べているように見えたので大声で制止したが、近寄って見たら山葡萄の房についた実だった。私たちも口にしてみたが、酸味が強くてペッ!ペッ!

熊鈴は結局、見つからなかった。牛王院下を通過したあたりで、初めて3人と6人の登山者パーティに出会う。共に笠取山への登山者らしかった。

10時、車に戻る。

 

130分、無事帰宅。今回の犬連れ山上泊は初めてだったので若干心配もしていたが、十分満足。コースも変化に富んでいて、大いに楽しめました。
マロンとおかーさんへ…キツイ山行に付き合ってくれてありがとう。…おとーさんより。