年末の諸行事に取り掛かる前に今年最後の山歩きをと急遽、対象の山を物色。結果、手持ち候補の中から埼玉県の「大霧山」をピックアップ。

ガイド書には…大霧山は堂平山、笠山とならんで比企三山といわれ、標高767mと三山の中では最も低いが、山頂からの展望は極め付きだ。…と書かれている。

所要時間: 2時間30
難度(犬として): 易+▼+++難
マロンの日記:

 

410分、家を出る。インターネット情報とNHKの天気予報にズレがあって心配したが、夜空に星が見えて安心。入間ICの先より国道299号線に入り、正丸トンネルを抜けて横瀬町役場の先の県道11号線に右折。

11号線は紆余曲折しながら山中に高度を上げていく。外気温はマイナス2度。

坂を上りきり「定峰峠」の地名看板を見つけ、三叉路近くの56台駐車可能スペースに車を留める。

650分、「定峰峠」三叉路の路肩の「←大霧山3.4km」標識に従い杉林に入る。

急坂には丸太を縦に並べた階段が作られているが、段差が大きく使いづらくて階段脇を登る。

658分、杉林は自然林に代わり、最初のピークを通過。山道は尾根筋の坂道を下る。「関東ふれあいの道」だけあって幅広で歩きやすい

 

人の気配がないのでフリーにされたマロンはひとり先行し、アップダウンの地形で姿はすぐに見えなくなるが、ハーネスに付けた熊鈴が大体の居場所を教えてくれる。

山道に僅かに霜柱。赤松混じりの林越しに尖った山が見えてきた。目指す「大霧山」らしい。

713分、路肩に「獅子岩」の標柱。横に積層の岩の塊。獅子と云われればそれらしくも見えてくる。

 

ザレの下り坂道に落ち葉が積もっているので滑りやすい。檜と松の林を通過。

724分、杉木立の中の「旧定峰峠」に着く。辻の路肩の「ダイダラボッチの伝説」の説明板には

昔、武蔵野に大太坊(ダイタボウ)という巨人がいて羽黒山に行く途中、秩父の山にさしかかり、そのとき巨人は定峰峠に腰をかけ、かぶっていた笠を笠山の頂きにおき、両足をニュッと伸ばし槻川のあたりに足をつき粥仁田峠で粥を煮て昼食をとりました。食べ終わって粥を煮た釜を伏せたのが釜伏山、二本の箸を立てた所が二本木峠、腰を下ろした石が休石、また荒川の水を含んで吹いたのが大霧山、大太坊の足跡は今でも槻川上流白石の山中に窪地や沼として残っているそうです。…環境庁・埼玉県  と書かれていた。

 

737分、檜林を通過。朝日が差し込んできた。気温は2度。

744分、山道が右に90度方向を変える地点に休憩ベンチと「定峰峠2.3km 大霧山1.1km」標識。地名板は無いがガイド書の檜平らしい。休まず先に進む。

 

753分、尾根筋の坂を下る。「ウツギ」の解説板が立てられていたが、この初冬シーズンに彩りは全然ない。

山道沿いに有刺鉄線の柵が現れた。地図には牧場との表示があるが動物は見えない。気がつくとフリーにしたマロンが牧場側に入っていた。

驚いて強く呼び返すと無造作にジャンプして枯れ草に隠された有刺鉄線に跳ね返され、状況を理解出来ずに直ぐに再挑戦。

二度目の撃退で初めて異常を感じたらしくおとーさんの指示に従い無事に山道に戻る。

85分、「大霧山 766.6m」山頂に到着。

恒例の山頂記念写真を撮りながら周りを眺めると

……山頂の西、北になだらかな低山が広がるばかりで背後を除いては視界を遮る山はなく、山頂標識地点に立つとまるで大海原を掻き分けて進む大型船の船首に立っているような感じ。

 

近くに武甲山、両神山と秩父の町並みが眺められる。傍らの展望案内図で遠方に見える連山の山名を確認しようとしたが、多くは消えかかっていて良くは読めない。

地図を広げれば奥武蔵、奥秩父、西上州、榛名、赤城、日光の山々が同定できそうなのだが、うすら寒くてその気が起こらず往路を戻ることにする。

 

817分、おにぎりを頬張りながら下山開始。帰路は登山者に出合うかもとフリーのマロンが先行しないよう、飴(ドックフード)と鞭(声とステッキ)で二人の間にはさまれて歩くよう訓練しながら下る。

920分、車に戻る。好天だったが登山者、駐車車両共にゼロ。

 

県道11号を車で下る途中、道脇の木立に猿軍団が出現。20cmほどの可愛い子猿も混じっていた。

1220分、無事帰宅。

この夜、山行記を書きかけていて、ダイダラボッチとは「タタラ」のことではと思いついた。

(1年ほど前、練馬のEさんに教わって購入した「山名の不思議」「山の名前で読み解く日本史::共に谷 有二著」で…タタラ製鉄に関係した山名が全国に点在すると書かれていたのを思い出し…)

翌日、インターネットで「ダイダラボッチ」と「製鉄」のキーワードで検索すると…数多くの記事が見つかり、秩父を流れる荒川流域に砂鉄が産出することも分かり、納得。

「大霧山」山行は短時間で少々物足りない思いをしたが、ダイダラボッチ伝説から種々の情報に接することが出来て面白かった。