近場に未訪問の山を探しているうち、富士山北麓にある御坂山地と中央高速道路に挟まれた地域の山々が昭文社地図では紹介されていないのに気づいた。

国土地理院地図を調べると名前の付いた山で登山道が書かれている山が3山ほど見つかったのでネットで登山記録を調べて面白そうであれば歩いてみることにした。

手始めに昔、「釈迦ヶ岳」を訪ねた折に車を置いた桧峯神社近くの「大栃山」を訪ねることにした。

 

◇所要時間: 3時間44
◇難度(マロンとして): 易++▼++難
◇マロンの日記:
 トビス峠までは段差は無いが荒れていて歩きにくい道が多かった。その先の尾根道で上り始めは少し傾斜がありましたが、あとは散歩道のようで気持ちよく歩けました。

 

358分、出発。東の空に三日月が残っていた。

相模湖ICで中央高速路に入り一宮御坂ICを下りる。カーナビ指示どおり県道36号線を南下し、ウッドストックCC先のカガミアーチェリー手前にある「大口山」バス停脇の道に入る。

この先はカーナビに道路と認識されない簡易舗装の一車線道路でアーチェリー場の中を抜けて上っていく。林道が沢を横切る地点まで上ると沢沿いに山道が見えたので、それが「大栃山」への登山道と考え、車を道脇の一台分の空スペースに止めて出発準備を整える。前日に国土地理院地図を見てGPSに記憶させた出発予定地は更に先にセットしたためかGPSにナビ開始を指示すると画面に予想外の軌跡が表示されうまくナビゲーションを開始しない。

632分、GPSは歩きながら調整することにして出発。

沢沿いの山道に進みかけたが、林道のカーブ先に大きな空スペースがあるように見えたので車を置き換えようかと林道の坂を上ってみる。

林道は坂上で三分岐しており、道角のブッシュの中に「←大栃山 神座山」の看板が立っていた。これで安心してこの林道を東に進む。

 

641分、砂利林道は先ほど見た沢に沿い東に伸びていた。気温は0度で無風快晴。

656分、マロンのリードを妻に託し、GPSにナビさせようといろいろ操作しながら前進していくと左の森の方からら「神座山方面の標識があった〜」とマロンと先行した妻の叫び声。これに従って桧林の山道に進む。林床は枯葉や枯れ枝が堆積していて踏み跡がはっきりせず慎重に進む。

GPSがうまく機能し始めてほぼ予定コースに乗って前進しているのが読み取れるようになった。

 

710分、桧山の山腹を東に進む。踏み跡が山道らしくなってきた。

723分、沢筋を二つ回りこんで進むと桧林は赤松と潅木の林に代わった。

728分、山腹の山道が沢に崩れている箇所は上を回って通過。

 

730分、桧林の中、涸れ沢沿いに上る。このルートに登山者は少ないらしく道はあまり踏まれておらずフカフカと柔らかい上、結構荒れている。

(帰宅後、GPS軌跡を確認したら赤テープ表示があった山斜面に付けられた道(帰路に通過)を外れて、沢筋で上ったことが分かった。)

742分、GPSの「接近ポイント」のビープ音が鳴り、じきに四差路のトビス峠に到着。

 

峠からは南に「釈迦ヶ岳」、北へ「大栃山」、東は「檜峯神社」と歩きやすそうな山道が延びていたが上ってきた「八代方面→」だけは寂れた様相のコースだった。

記念写真を残して大栃山へ向かう。山頂に向かう山道は斜度はあるが良く踏まれていてこれまでの道とは大違い。

751分、尾根の日当たりの良い場所で小休止。太陽の下に「釈迦ヶ岳」が尖った特徴的な姿を見せる。

 

84分、森の中に「大栃山30分」「トビス峠30分」の標識。GPSを見ると距離的にトビス峠からの2倍の距離が残っていた。平坦な尾根道を朝日を浴びながら気持ちよく進む。

峠までは見通しのない森の中ばかりだったのでマロンをこの尾根筋ではフリーにしてやろうとした途端、マロンが左の林を気にし始めたのでひも付き継続。

山頂に近づいたあたりでマロンが後ろ足を持ち上げて何かを訴える。見ると肉球に棘。マロンのザックから刺抜きを取り出して処置。

山頂への最後の上り。ツツジらしい潅木が多いが、まだ芽は硬く固まっていた。右手のカラマツ林から大きな鳥が飛び立った。綺麗な緑と赤が目に残ったので雉だったらしいがマロンはただ見送ったのみ。

 

829分、「大栃山」山頂に到着。

北方に見晴らしが得られて甲府の町並みの先に雪の「八ヶ岳」と「鳳凰三山」、その先に「南アルプス」の山々が見える。バナナを食べながら静かな山頂からの景色を楽しむ。気温は相変わらず0度。

山頂から西に下る尾根に踏み跡が見られ、車を残した方向に降りられそうな気配を感じたが、今日はその気持ちは抑える。設置された方位銘盤には左から右に「大菩薩嶺」「甲武信ヶ岳」「国師ヶ岳」「金峰山」「八ヶ岳」南アルプスの「千丈岳」「北岳」「間ノ岳」「塩見岳」とこれまでに登った山々の記載があり、それぞれが同定できた。

 

843分、往路で下山開始。

僅かに戻りかけると南に冬姿の立派な「富士山」が端麗な姿を見せてくれた。

帰りの尾根は気楽に下る。上りでは気づかなかったが「マンサク」が咲いていた。

トビス峠へ近づくと空で「ピー」と鳶らしい鳴き声。このあたりは上昇気流が発生しやすい地形なのかも。

910分、「トビス峠」に戻る。一息入れて「八代方面→」表示の山道に下る。

 

森の中で小休止し、ムスビを食べる。更に赤テープを探しながら下っていくと酷く痩せた地形の上に出てしまった。GPSで往路を確認すると左下の沢の中を上ったのが分かったが、戻るのも癪なので慎重に沢に下りる。

942分、森の中の涸れ沢を下っていたが往路では見た記憶の無い地形だと気づく。GPSで確認すると往路は右の桧林の山腹を通過していた。涸れ沢は更に下れなくも無いが、行き詰まってから戻るのは大変だと考えて強引に山腹を登って往路で使った山道に戻る。このコースは踏跡が少なく、注意していてもコースを外れてしまった。

あとは往路を順調に辿る。

952分、桧林の中に踏み跡が二分岐していた。GPSは左折が正解と示しているが、右の踏み跡5mほど先にピンクテープが巻かられた棒杭が立っていた。何も知らずにこの地点に来た人はこれに誘われて右折前進すると思えるので、右折でも車に戻れるかもと敢えて右折前進してみる。

30mほど進むとこの踏み跡は徐々に窪地を北に上り始めた。出発前日、国土地理院地図の等高線図を見て山頂から南に一定勾配で歩きやすそうな尾根筋が下っているのに気づき、ヒョッとしたら南斜面を登る道があるかもと考えていたので、「これは大栃山への直登路では!!」ではとピンと来た。往路でこの赤テープに気づけば間違いなくこれを辿っただろうが、今日の山行は既に終盤に近づいているので、現在地をGPSに登録しただけで後ろ髪を引かれながらも、往路に戻って下山を継続。

 

107分、桧林の中の踏み跡が消えてしまった。左の幅広の涸れ沢に堰堤があり、対岸に山道があるように感じられたので、妻とマロンを残し河原に下りる。対岸に今朝、歩いたと思われる砂利道を確認し、全メンバーで河原を渡る。対岸に着いてGPSをみたら確かに今朝歩いた道だったことが確認できた。

1016分、車に戻る。

 

1時、無事帰宅。

新規装備のGPSは確かに衛星電波受信能力が優れていて、森の中の沢筋であっても軌跡が途切れなく表示されていた。機能を十分に使いこなせれば頼りがいのある装備品になりそう。