2度ほど訪ねたことのある両神山は登山者が多いのでマロン連れ登山対象から除外していたが、昭文社地図で両神山の西斜面に点線で山道が記入されていることに気づく。コースには沢筋のトラバース箇所が23箇所見られるが、全般的な険しさは左程でも無さそう。

登山情報をHPで調べると、落合橋・登山口と山頂近くの下山口に「通行止」注意看板が掛かっているらしいが、両神山頂への直登コースとして使った記録も見つかった。看板には埼玉県秩父農林振興センターの名前が書かれているらしいので当センターのHPを調べると、

「現在、管内の県営森林管理道で通行止めの箇所はありません。なお、落石や土砂崩落等、通行に支障がある場合には、緊急の通行制限を行うことがありますので御了解ください。」  との文面を見つけた。

これなら現場を見て、通行に支障が無いと判断できれば自己責任で通行してもよかろうと都合の良い解釈をして登山者の少なそうなこの時期にこのコースを歩いてみることにした。

◇所要時間: 3時間30
◇難度(マロンとして): 易+++▼+難
◇マロンの日記: 
木の根や岩屑が多く、跳ね上がる箇所の多い山道で楽しかったが、羽虫が多いのは煩かった。下山途中の森の中で蝦蟇と遊べました。

 

 

夢うつつに時計を見て2時と思い込み、先ずは勇み立つマロンを車に移し、静かにさせて改めて時計を見たらまだ0時を少し過ぎたばかり。もう一眠りをと思ったが妻も起きてしまい、近頃は4時過ぎには歩ける明るさだし、「登山口」へは4時間位掛かるのだからと云われて早出を決定。

046分、出発。空には半月。国道16号線を走り、入間市で国道299に乗り換え秩父市に向かう。238分、道の駅『果樹公園あしがくぼ』で小休止。駅横のセブンイレブンで食料を調達。路肩の温度計は22度を表示。窓を開けて走ると気持ちいい。更に国道299で秩父市を通過し、小鹿野町先の志賀坂トンネル手前を左折し、一車線の舗装林道(金山志賀坂線)に進む。

 

路面の石や路傍から張り出した潅木に注意しながら車を走らせているとヘッドライトの光の中に熊サイズの獣が立っている。

停車して、よく見ると角の生えかけた仔カモシカ。ヘッドライトに照らされて身が竦んでいるというより、どうすればよいのか迷っている風情。後部座席からデジカメを取り出した時にはカモシカの子供は道路先に歩き出して、路肩のブッシュに消えてしまった。結構可愛い少年カモシカだった。

900mほどのトンネルを通過し、425分、「八丁峠 両神山」の登山標識の立つ上落合橋に到着しその先に10台程度の駐車場を見つけて一番乗りで駐車し直ぐ先の落合橋袂に予定の登山口を見つけ、出発準備を整える。

 

434分、出発。登山口には予想通り、「この先危険なため通行止  埼玉県秩父農林振興センター」の注意板が掛かっていた。

危険箇所に遭遇すれば潔く戻る覚悟を再確認して先に進む。最初から岩と木の根の急傾斜が始まり、私達は岩と木の根に掴まりながら息を弾ませて登っていくがマロンは身軽に先行。

 

447分、やっと山道らしくなってきた。道脇には「小アジサイ」が群落で白花を見せてくれる。山道には相変わらず木の根、岩屑が多い。高度を上げるに従い、西風が吹き込み始めて気持ちいい。

57分、相変わらず檜林の尾根を上っている。あまり踏まれていない山道なのに木の根の露出が激しくて雨で濡れたら滑って歩きづらそう。

510分、傾斜が緩み、1389ポイントが近いと思われるがはっきりしない。風は後ろから吹いてくる。マロンは一時、先行して森の中に姿を消したがその後は見える範囲を遊びながら登っている。

 

513分、コースは10mほど下っている。1389ポイントには石標があるものと思っていたが、見つけられず通過した模様。辺りは素直に伸びて綺麗なダケカンバ林が続き、下草は一面、アセビの木。尾根筋の上りが続く。先行マロンの熊鈴の音が聞こえなくなり、犬笛で呼んだがナシのつぶて。2分ほど待機したが結構長く感じる。

山道の途中で小休止。右方から風が吹き込み心地よい。山道が尾根筋から山腹に移り始めた。山腹を進むようになると数箇所の沢筋を横切る筈なので注意して進む。

 

525分、沢筋通過箇所に「通行注意」の看板。補助ロープも張ってあった。2分ほど先で再び涸れた沢筋を通過。

531分、流水の沢を渡る。体温が上がったのか、マロンは沢水で冷やされた岩に腹ばいになって休んだ。沢筋にウワバミ草やカメバノヒキオコシが群生。

538分、尾根筋に上りあげて尾根を辿るようになった。手持ち地図での現在地がほぼ判明。

544分、再び沢筋の通過箇所。その先の山肌にロープが垂らされていたがマロンは苦も無く登っていく。かなり山犬度が向上。道脇一面に5葉の矢車草が繁茂。羽虫が多くなり防虫網を被る。網越しに刺す奴もいる。

 

63分、山腹をトラバースしたり尾根を急登したり息を切らして上る。小バイケイソウが蕾を付けていた。広い尾根先を九十九折で登る。周りはダケカンバ林。

68分、大岩の下に上りついて小休止。左上方に見える峰のあたりに両神山頂があるらしい。ここまで上れば後は尾根筋を上るコースで左程危険箇所はなさそうと気を楽にして先に進む。

 

617分、前方の木立の隙間に曇り空が覗き、風が入るようになった。尾根の合流点は近そう。

620分、尾根の分岐点に上り付く。この分岐点にも登山口と同じ「通行止」の注意看板が掛かっていた。

 

「両神山0.2km→」標識に従い、岩稜尾根を辿って山頂に向かう。

627分、「両神山」山頂に到着。

薄曇で太陽の在処は不明。風は結構吹いていて、曇り空には更に流れ雲。ナナカマドが風に揺れているばかりで山頂に人の気配はない。入梅時期の平日のこの時間では当たり前か。

山座表示盤を見つけて周りの山を同定して楽しむ。大きく見えるはずの富士山は雲の中。

642分、下山開始。

太陽は昇っている筈なのに東の空が帯状に朱色に染まっている程度。

分岐地点の「通行止」の注意看板横に「作業道」の標識も掛けられていた。往路を戻るのは気が楽だ。森の中に風が入るのに、立ち止まると羽虫が群がってくる。防虫網は必需品の時期。

沢ではマロンが水を飲んだ。流水嫌いのマロンには珍しいことだ。高度を下げるに従い、蝉がやかましいほど鳴きだした。

750分、5分ほど小休止。下山継続。

84分、無事下りきって車に到着。他に車なし。

帰路は金山志賀坂線林道を南下して雁坂トンネル経由で塩山に向かうべくカーナビをセットしようとしたが、カーナビが云うことを聞かず、仕方なく往路を戻る。

125分、無事帰宅。マロンの身体を調べ、ダニ5匹を排除。夜のテレビでは今日の東京の気温は36.2度と放送していた。