6月初旬、「白砂山」のシラネアオイの映像をテレビが放映。・・ならば・・と、登山地図を調べると、歩行時間は往復6時間45分でその上、登山口の野反湖へは片道4時間とカーナビが表示。
これでは日帰り困難・・と躊躇しているうちに梅雨期が到来し、天候不順が続く。
・・が、大陸性高気圧の張り出しのせいか思いがけなく6/25の群馬県北部の天気予報が晴天に変わり、気温も最高23度と涼しい予報。

シラネアオイの花期は既に終わったにしても、野草の多い山らしいので、この好条件に思いきって木曜日の出発を決める。

◇所要時間: 6時間55
◇難度(マロンとして): 易+++▼+難
◇マロンの日記:
 距離と高低差のキツイ山で、段差は少なかったが前半の森の道はぬかるみ箇所が多かった。思いがけなく、シラネアオイに出会えたのは、マロンの羽虫恐怖症のお陰だと言われました。

 

150分、出発。所要時間短縮のため、国立府中ICから中央高速に乗り、八王子JCTで圏央道に移り、鶴ヶ島JCTで関越自動車道に移る。夜間割引料金で渋川伊香保ICを下り、国道353号を西進し、中之条町を抜けた先で県道55号に移り、信号機の少ない道を牧水詩碑のある暮坂峠経由で六合村に下る。

446分、白砂川を渡って国道292に移り、白砂川を遡る方向で野反湖目指して高度を上げる。路肩の温度計は11度を表示。「道の駅・六合(くに)」の先で国道405号線に移り、高度を1500mあたりまで上げ、「野反湖」湖畔を北上。湖畔のダケカンバ林の林床に朱色のレンゲツツジが彩りを添える。

3時間半ほどの所要時間で野反湖北端の広い駐車場に到着。先着車は7台。駐車場には休憩舎付きトイレもあつた。

533分、駐車場横の「登山口」標識に従い登山開始。

ダケカンバ林の林床は膝程度の笹原で明るい雰囲気。正面から昇る太陽がまぶしい。昨日の午後から晴れの筈なのに山道はぬかっていた。

小尾根を乗り越し、前方の沢音に近づくように破砕石のガラガラ道を下る。

546分、ハンノ木沢を角木組橋で渡る。暑がりマロンは早くも沢に漬かって体を冷やす。対岸斜面を九十九折で登り、次の小沢も木橋で渡る。見慣れない黄色の花(オオバキスミレ)を見かけた。

611分、「地蔵峠」の三分岐は「白砂山→」標識に従い、尾根の樹林の中の湿った道を登る。見晴の得られない山道に紅色の小粒の落花を見つけ、見上げると「紅更紗ドウダン」が満開。コメツガ混じりの森の道脇にマイズル草の群落が続く。ツマトリソウも咲いていた。

 

634分、標識は無いが「地蔵山」を通過。周囲に殆ど視界が無く、道は相変わらずジメジメで特にこのあたりはヌルヌル。20cmほどの大柄なエンレイソウが黒い花(ガク)を付けていた。

ピーク先に下り始めると前方に大きく「堂岩山」が見えた。

汗が目に入るのでバンダナで鉢巻。緩いアップダウンで森を進むとマイズル草群落も続く。ゴゼンタチバナも白花を見せ群落。小さな蕾を付けたユキザサも見られた。

7時、「堂岩山」への上りが始まった。登るに従い、湿気た森の中に羽虫が飛び始めて煩わしい。左に僅かに視界があるあたりで水飲み休憩。左下からの沢音に水場分岐に近づいたかと思ったが、上るに従い沢音は消えた。

 

722分、小広場に上りつくと「←水場」標識が左下を指し、南西の木立越しには野反湖が遠くに見えた。変化の少ない樹林の尾根筋を登る。

733分、窪地地形を登っていくと15mほどの区間が雪渓状態になっていた。この先の道脇は笹が密集し風が入らず、羽虫が増えて目や耳に入る奴も出てきた。堪らず虫網を被る。鶯がよく鳴く。

 

751分、尾根筋を外して北斜面に付けられたコースで「堂岩山」山頂を目指し、高みに出た途端、前方の視界が開け、「白砂山」が姿を見せた。暗いジメジメの森を長く歩かされた後なので、この急展開は心が躍る。

753分、手造りの「堂岩山」標識のある地点を通過し、「八間山分岐」まで下ると前景が広がり、「白砂山」へ続く変化のある尾根筋とその南斜面に広がる新緑の山肌が味わい深い景色を展開。景色をカメラに収めて先に進む。

 

道脇はツツジ、シャクナゲ、笹、松、ナナカマドなどの密生した低潅木帯。シャクナゲは花期を終えていたが僅かに残り花。雲間から太陽が出ると暑い。

小沼脇を通過するとマロンは迷わず水に入った。

先ほどまではジメジメ森で羽虫に攻められ、白砂山登山はさほどでないなどと話していたのに後半では評価が一変。黄色のシャクナゲ花を撮影。

 

815分、標識の無い「猟師ノ頭」へ着き小休止。目指す「白砂山」には四つのピークが見えるが、どれが山頂なのかはハッキリしない。少し風が通るようになり羽虫が減り、マロンに落ち着きが戻る。右斜面下のミネザクラが花を付けていた。

「白砂山」から下ってきた登山者の顔を見ると外人。「コンチワ」と挨拶すると日本語で挨拶を返したので、前方のピークのどれが「白砂山」山頂かと訊ねると、「最初のピークを過ぎたすぐ先」との答え。

小バイケイソウが早くも蕾を付け、明るい赤紅色のイワカガミが群落。紫のハクサンチドリを見つけて撮影。花の種類が増えてきた。

 

856分、高度を上げていくと花が減り、笹と潅木の密集帯を通過。最初のピークは南を巻き、次のピークに向かう。二番目ピークの先は平坦で前方に高みが見えた。

93分、「白砂山」山頂に到着。私たちが駐車場に着いた時にスタートした夫婦連れ登山者に出迎えられて挨拶を交わす。

先着者と話をしているうちに羽虫が集まり、これを極度に嫌うマロンが紐先で半狂乱に跳ね回り始めて山頂記念写真もままならない。先着者は先に下山。

ガイド書には <この山頂は「長野県」と「群馬県」の県境にあり、この山頂の東100mあたりに「新潟県」を加えた三県の県境がある> と書かれており、そこに立ちたい気持ちもあったが、マロンの半狂乱状態と東への山道に「この先危険 佐武流山、上ノ倉山、稲包山方面は危険」看板もあり、一刻も早く風が通って羽虫の居ないところまで下山しようということになった。

914分、周りの山々の写真も食事もとらず、下山開始。

15分ほど下り、風の吹きぬける場所でザックを下ろす。マロンに水を与えながら何気なく南斜面下を覗くと新緑の草の間に薄紫のシラネアオイの花!!。それも新鮮で10輪以上も!!!

新緑の草地を荒らさぬようレンズを望遠にして撮影。

大満足して下山続行。下山時の方が気持ちに余裕が出て花を撮影しながら下る。

 

「白砂山」斜面を下り終えると小ピークの先に「猟師ノ頭」が尖って見えた。背後から風が吹き込み生き返る感じ。

953分、「猟師ノ頭」ピークに戻ると眼前に大きく「堂岩山」が聳えている。帰路での上りは気持ちが萎え、足にも応える。

1036分、「堂岩山」を通過し、1051分、「水場分岐」へ到着し小休止。

1131分、「地蔵岳」の高みへ戻り、山頂標識を探したが、見つけられないまま下りに入る。

1151分、「地蔵峠」の三分岐で本格装備の登山者と交差。ここから南斜面に下る。

 

最初の沢でマロンは体温を冷やし、私たちは汗を流す。最後の40mほどの上り坂は太陽に照らされ結構キツイ。

1228分、車に戻る。
駐車場斜面には朱色のレンゲツツジが満開。

帰路は入間ICを下りて一般道を使い、1640分、約4時間かけて無事帰宅。

 

白砂山で出合った花々


ツマトリソウ


エンレイソウ


ゴゼンタチバナ


ユキザサ


ベニサラサドウダン


イワカガミ


キバナシャクナゲ


コバイケイソウ


ギンリョウソウ


ナエバキスミレ


ツバメオモト


コケモモ


アズマシャクナゲ


ミツバオウレン


コミヤマカタバミ

オオバキスミレ


ハクサンチドリ


ベニバナイチヤクソウ