5年ほど前、初代マロンと焼山峠から登った小楢山に今回は蓮華ツツジを眺めることを主目的にして二代目マロンと登ることにした。

6月は蓮華ツツジの盛期の筈なので今回は標高差が大きくて比較的登山者の少なそうな南からのコースを採用。

この山の山行記をHPで調べたら、オーチャードビレッジ・フフ施設の少し上の駐車場から歩くのが普通らしいが、その先の林道を上る車もあるらしいことが分かったのでスタート地点は現地で判断することにした。

 

◇所要時間: 5時間2
◇難度(マロンとして): 易++▼++難   (幕岩への登りは除く。)
◇マロンの日記
:上りはなんということも無く山頂に着きました。・・が、「幕岩」に近づくに従い岩が増え・・・、幕岩では煙突のような岩場の上りを無理強いされビックリ。下りは無理だと思っていたらおとーさんが背負って下りてくれたので助かりました。

 

2時半、細い三日月を見上げて出発。気温は18度。国立府中ICから高速に入り、早朝割引料金で勝沼ICを下りる。カーナビ指示で北上し塩山市経由、県道38号線、国道140号線を走り、窪平交差点で左折し牧丘町倉科目指し高度を上げていくと路肩に「オーチャードビレッジ↑」の看板が現れた。

更に高度を上げ、オーチャードビレッジ施設前を通過しビレッジ駐車場先に登山者用らしい駐車場を見つけたがHPで砂利林道に車を乗り入れ可能との情報を得ていたので更に砂利林道を上る。

ビレッジから600mほど進むと林道の荒れがひどくなったので路肩に空スペースを見つけ車を停め、出発準備。気温は13度に下がっていた。出発しかけたら4駆らしい小型車が荒れた砂利林道を強引に上って行った。

 

437分、林道を登り始めると砂利道はだんだん良くなり、やがて簡易舗装路に代わった。もう少し我慢して上ればと残念至極。

458分、簡易舗装路が二分岐。シャツを一枚脱ぎ「←小楢山」標識に従う。その先はしっかりした簡易舗装路。上るに従い道横の沢の流水が消えた。鶯が鳴いている。

518分、舗装林道の左斜面に山道が分岐し「旧道の父恋し路入口↑」標識。私たちは「母恋し路」を目指して舗装路を直進。太陽が差し込み始めた簡易舗装路をマロンに引かれて上っていく。

 

525分、舗装路終点に広場があり、先ほどの乗用車横に中年男性が立っていた。挨拶を交わし、ここから「母恋し路」の山道に進む。暫くは桧、スギの森を登る。

車で朝食を済ませたが水を飲まなかったマロンに水を与えると400ccを一気飲み。林床にはマムシ草、カメバノヒキオコシ、シャク、小バイケイソウなど見られたが野花は全然なし。山道にコケの生えた岩が増えてきた。太陽の入らない薄暗い森を上っていく。

 

やがて自然林に朝日が差し込み始め、気が付くと蝉の声が賑やか。初夏の山歩きの雰囲気。

622分、「←幕岩・大沢山」、「小楢山山頂・焼山峠→」標識の立つ小楢峠に上りつき休まずに「小楢山」山頂を目指す。

暫くは緩い上り。新緑の林にツツジの朱色を探したが見当たらない。

 

635分、「小楢山」に到着。

真南に少し霞んだ富士山。楽しみにしてきた「蓮華ツツジ」を探すと山頂北側の「錫杖ヶ原」に「蓮華ツツジ」がほころび始め、その奥に「ズミ」が白花を見せていた。

ツツジの満開は1週間ほど先らしい。

風が無く、柔らかく朝日が差し込む山頂はお湯でも沸かしてコーヒーなど楽しみたい雰囲気。南眼下の甲府市街は霞の中。山頂には
    
「母恋し路・父恋し路云われ」
戦国時代武田氏に仕えた信州川上の城主の姫が夫を慕って中牧城に来たが、城は信長の軍勢に陥落され、夫は討ち死に嘆き悲しんで盲目となり、川上村に帰る道に迷いてこのところに死す。後日、川上村に残した二人の姉弟が供を連れて両親の供養をしようと小楢峠にさしかかり、姉はやさしい峠道を下り(母恋し路)、弟は険しい奇岩の連なる大沢山(父恋し路)を下ったので、誰云うとなく父恋し路・母恋し路というようになった。   
と書かれた解説板もあった。

7時、山頂を後にして幕岩に向かう。遠くからカッコウの声。7分ほどで峠を通過すると父恋し路を登ってきたらしい登山者と交差。

717分、尾根の岩稜帯を登るようになった。新緑の潅木のトンネルを潜り進む。

725分、岩稜帯を通過し終わり「幕岩」への上り口に着いたら、岩稜帯の悪路と並行した巻き道らしい山道が伸びてきていた。

 

さて、いよいよ先代マロンも上った(上らせられた) 高さ7mほどの岩の鎖場の登り開始。

私たちのザックは上り口に残し、段差ごとにマロンを嗾けたり持ち上げたり押し上げたりしながら崖を登る。マロンはさほど恐怖は感じていないらしい。

 

数分かけて無事、全員の登頂完了。

マロンは20度ほど傾いだ黎明岩の岩盤の上を警戒してか妻に寄り添っていて動き回らない。

私だけが岩盤のピークに登って五丈岩の見える金峰山方向の景色を撮影。(右の緑の山が小楢山)

 

小休止後いよいよ急崖の下りに取り掛かる。

 

マロンを特製の綿布シートで包み、シートの両端に2本のステッキを差込み、これを帯バンドで絡めて肩に背負う。この段階になってマロンが1kgのザックを背負ったままで上ったことに気づいたが、今はやむなしと重くなって膨れたマロンを担ぎ上げ、鎖にも頼りながら崖を下る。

マロンはおとなしく、「命預けます」の態度。

749分、全員、上り口に下り切って一息つく。13kgだった初代マロンはザックに格納できて楽だったが、犬ザック重量込みで18kgになつた二代目マロンは結構重く感じた。

 

757分、「大沢ノ頭」着。360度の展望が得られて北には先ほど登った幕岩も見えた。富士山は既に霞みの中。朝日を浴びながらムスビを食べる。

88分、「父恋し路」で下山開始。

下り始めはかなりの急坂。山道が湿っているので慎重に下る。下るに従い、傾斜は緩み始めた。山腹を回り込みながら下ると蝉がやかましいほど鳴いていた。薄暗い自然林にバイケイソウの若葉が目立つ。

 

823分、屏風岩前を通過し、森の中の苔むした岩の転がる窪地地形を通過。

山腹や崖横、沢筋の暗い樹林の中を下っていくが、GPSは衛星電波を確実に捉えて往路との予定合流点に近づいているのを表示してくれていて安心できる。

沢筋を下っていくと伏流水が噴出していた。その下で「白雲の滝」横を通過。

849分、石仏の前を通過。数箇所でキノコも見られた。

854分、砂利林道に下り切って林道を左に進む。

857分、「父恋し路」と「母恋し路」合流点に戻った。日差しが強いので休まずに往路を下る。

偶然、舗装路に落ちた「エゾハル蝉」を写真に撮ろうとしたら、横からマロンがパクリ。蝉も好物になったらしい。

 

919分、林道脇の「大山祇神」の祠横の木陰で小休止してムスビを食べる。マロンが森の中から白いものを咥えてきて見ると獣の骨。捨てさせて生えていたキノコと一緒に記録に残す。犬を連れて歩くと退屈しない。

939分、車に戻る。

 

12時、無事帰宅。

  小楢山3