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「マロンと山歩」の200番目の山は初代マロンが100山目に登った丹沢の「蛭ヶ岳」を別コースで登ってみようと考えていた。…が、前回の「雨山」登山の結果、丹沢では早くもダニが繁殖し始めたのが判ったので一日でも早く登っておくこととし、今回は199番目ではあるが、「市原新道」を使って「蛭ヶ岳」を訪ねることにした。 「市原新道」とは雷滝と蛭ヶ岳山頂を結ぶルートで以前、蛭ヶ岳山荘で働いていた市原青年が見つけ、以後、蛭ヶ岳へ登る最短コースとして利用されはじめたものらしい。 ◇所要時間: 6時間36分 |
3時30分、出発。西の夜空の半月に向かい車を走らせ、半原経由で宮ヶ瀬湖に抜ける。虹の大橋先の御屋敷三叉路で「早戸川国際マス釣場→」看板に従い左折。奥野ずい道先も左折。国際マス釣り場の700m先にあるゲート横には「この先3km 土砂崩れ 通行注意」看板があったが気にせず進む。 |
国際観光センター先で舗装林道は砂利道に代わり路面には何箇所も落石が転がっていたが車の腹を擦りながらも強引に前進し、ほぼ日の出時刻に林道終点の伝道に到着。先着車は見当たらなかった。 5時20分、林道終点の看板には登山ルートを表示するものが見あたらず、昔の記憶を頼りにすぐ先の石橋先を右折し、テープ表示に従って伝道沢沿いに進む。 |
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100mほど先でテープに従い左斜面へ上ると左に踏み跡が分岐。表示は無いが造林小屋は左方向と判断し先に進む。 5時27分、防鹿柵に対面し、柵入口に掛けられた「←大滝」看板に従い、柵沿いに上る。 |
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既に一昔前、毎週のように丹沢を歩いていた頃には造林小屋への道は山腹沿いだったがその昔の道は崩壊したのか現ルートは山越えで小屋に向かっているらしい。 5時37分、「←雷平」標識が掛けられた小屋前を通過し、早戸川沿いに山斜面の道を進む。周りの自然木は芽吹き始めていた。山斜面の痩せた道は5,6箇所、木橋で補強されている。 |
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5時46分、山道は急角度で河原に下っている。先行者は見当たらないのでマロンをフリーにして2本の丸太を頼りに早戸川右岸に渡り前進。 大岩をロープで乗り越す箇所に来たらマロンが居ない。トランシーバーで呼んだらマロンは大岩の上に姿を現し、駆け下りてきた。爪が掛かれば岩場を登るようになってきた。 |
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崖横を丸太組橋で通過。 その先で早戸川を渡り返す。流れを気にする弱気マロンを対岸に渡ってリードで引っ張ろうと私が先に渡りかけたが岩に滑って片足落水。マロンは強引に川を渡らせた。 |
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左岸の崖沿いの道をマロン先行で進む。 6時12分、「雷平」と呼ぶ大滝沢と原小屋沢の合流地点に到着。現地標識は見当たらない。私達はテープを辿って雷滝方向に進む。進路は50m幅ほどの河原地形の中、ブッシュや岩を避けながら小石混じりの踏み跡で続く。マロンが見当たらないので大声で呼んだら100mほど先のブッシュの中から走り戻ってきた。やたらと心配させる犬になってきた。 |
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6時22分、大石のゴロゴロする「中ノ沢」出合いの河原を通過。 6時41分、雷滝に近づいたらしく前方から滝音が聞こえる。対岸に白いロープを見つけ、沢の中の大岩を飛び越して右岸に渡る。 |
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6時46分、テープを辿ると雷滝の正面に出る前に滝の右岸の上りコースに導かれた。結び目の沢山あるロープに助けられ岩の間を上る。 2分ほどの上りで雷滝の中間の平坦地に導かれ、滝を眺める。かなり豊富な流水量である。木の根に助けられ滝横の木立の中を上っていく。滝上に出たところで踏み跡が左右に分岐していた。右に進み、直ぐに尾根の先端を九十九折で上る。少し上って黄赤テープの表示を見つける。急坂の道脇にアズマイチゲが可憐な花を見せていた。 |
6時53分、踏み跡が尾根筋と等高線沿いに分岐している。等高線沿いの踏み跡は昔、榛ノ木丸を訪ねた折に使ったことがあり懐かしい。今回は尾根筋に進む。 |
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6時57分、勾配が少し緩んだ地点で小休止してバナナでエネルギー補給。風は無く空は薄曇。薄雲を通して太陽が確認できる。私達はすでに「市原新道」に乗った筈なのだが、それらしい標識はまだ現れない。小ぶりのブナ林を登っていく。尾根幅が広まるにつれて地形に変化が出てきた。 7時3分、鹿柵の前でプラスチック皿に書かれた「市原新道」のコース標識に対面。写真に収めて鹿柵沿いに上り始める。踏み跡がしっかりしてきた。ブナに蔓が巻きついて雑然とした林相の中を登っていく。 |
7時15分、ブナよりもコナラの多い林になり、蔓植物が無くなって林の中に50m位は視界が利くようになってきた。既に雷滝の滝音は小さい。歩き始めて約2時間が経過。汗ダクのため小休止して水分補給。 7時29分、林相が代わって蔓と潅木帯の中を登る。やがて右後ろに二段の山が見えてきた。昔、苦労して登った榛ノ木丸だ。コースは潅木と蔦の混じる幅広の急坂尾根に付けられており息を切らして登っていく。自然林は落葉し尽しているのに見通しは得られず、タダタダ登る。 |
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7時36分、再び鹿柵沿いに上る。ブナの大木が混じる明るい森を進む。ブナの枝先では僅かに芽吹きが始まっている。傾斜は緩み歩きながら会話が出来るようになってきた。下草の背丈の低い笹は鹿に食べつくされたのか葉っぱが無い。山頂へはまだ400mほどの高度を残している。 |
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マロンの行動範囲が広がってきたので頻繁にトランシーバーで呼びつけながら登る。 7時51分、カヤトが目立つようになり、北東に展望が得られる。右の尾根に移ったあたりからブナの大木の混じる明るい雰囲気の自然林を登る。 またマロンの姿が見当たらない。2分ほど呼び続けると右下の笹薮からマロンが息を切らして戻ってきた。「バカ犬め!」と云いながらも戻ったことは褒めてビスケットを与える。 |
8時、薄日が差し込むブナの疎林で10分ほど休憩。マロンだけが水をガブ飲みする。アセビの森に進む。自然林で気持ちがいい。狩猟禁止の看板が立つあたりは動物が多いらしく、マロンが浮ついているので用心してひも付きにする。アセビとブナ林の中、痩せ尾根になってきた。 8時15分、岩混じりの痩せ尾根通過。出発から3時間が経過。ブナの尾根道を登っている。鹿のフンが多い。 8時24分、昭和17年3月の日付の遭難者碑脇を通過。私が5歳の頃の話なので当時のこのあたりは原生林だったのだろう…。 |
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相変わらず、ブナ林の尾根を登っていく。ブナに混じるツガの木の根元だけが鹿に齧られていた。下草の笹の間にバイケイソウの若芽を見つけた。その気で探すと至る所にバイケイソウが若芽を出していた。 8時43分、粗めの鹿柵横を登っていく。柵の中には沢山のツガの若木が育っていた。山頂に近づいたらしく前方が盛り上がった地形になってきた。小柄な笹原の急斜面を九十九折で登っていく。マロンが木陰で腹ばいで休んだので暫し小休止。 |
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笹斜面に進路がハッキリしない。前方に赤テープを探しながら登る。立ち木が少なくなったあたりで蛭ヶ岳山荘の屋根が見えた。あと距離で100mほどか…。 9時、「蛭ヶ岳」山頂に到着。 山荘から黒犬(パル)が出てきてマロンと鼻を付き合わせ挨拶。山荘前広場に移動し、休憩テーブルにザックを下ろしてムスビを食べながら周りを見回す。 |
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今日の天気予報は全国的な快晴だったのになぜか隣の檜洞丸さえも霞んで見える。(…黄砂の影響だったらしい)。 山頂での記念写真を撮り、下山しようと山荘入口に近づいたら登山者と話していた山荘のあるじがマロンを見つけ、声を掛けてきた。犬好きな人らしく最初はマロンのザックはどこで入手したかの詮索から始まり、やがては迷子犬の面倒見の話、猟犬の発信機の話など話に花が咲いた。ならばとトランシーバーでマロンを呼び寄せるのを見せたら結構喜ばれた。 |
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9時28分、往路で下山開始。 幅広の笹原の下りは注意していないとすぐに踏み跡を見失う。2度ほどミスコースしコースを大きく外しかけた。 9時42分、幅広尾根が二つに分かれて西の尾根に下ると踏み跡がハッキリしてきた。下りは快調。往路を帰っているのだが、振り返って見ないと初めて歩く道のよう。 |
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痩せ尾根を通過しアセビ林の禁猟区看板ポイントで小休止。 10時25分、お皿の標識地点まで戻り、木陰で一休み。下のほうから雷滝の爆音が聞こえ始めた。滝上で小休止してムスビを食べる。足の疲れを取って下山続行。急坂を下る。 10時46分、滝下に下り切る。テープを頼りに対岸への渡渉点に進む。往路の渡渉点とは違う場所にガイドされた。 |
流量の多い沢を数個の大石を飛び伝い渡る場所。マロンが怖がったので私が両岩を跨いでマロンのハーネスを掴み、先の岩に「エイヤ」と送りこんだが、チョッと方向がずれてマロンは大岩からズルズルと落水。上半身を水上に残し必死の形相で岩に這い登ろうとしているマロンに気づき、その岩に飛び移ってハーネスを掴んで引き上げてやった。なんとか全員、怪我無く渡渉を完了。 |
マロンは先ほどの落水以後、水に慣れたのか浅瀬では自発的に水に入るようになった。 11時4分、雷平を通過。 道横の水溜りが揺れている。注目すると水溜りは蝦蟇蛙の卵で埋まっていて、その中で更に二匹が身体を揺らして産卵中。マロンは近くを歩いていた蝦蟇にいたく興味を示し鼻先で突付いていた。 |
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11時21分、流されかけた丸木を伝って沢を渡る箇所に戻る。私が先に渡り、マロンはリードで引っ張って沢を歩き渡らせる。最後に妻が慎重に丸木を渡りかけたが、真ん中で片足を水に落とし、後はザブザブ渡渉。 全員渡渉を完了したところで、「今日は全メンバー、揃って落水。」と笑いあう。 11時35分、最後の2本の丸木を渡り終わる。浅瀬には2cmほどの稚魚が群れていた。急坂で沢の右岸に上る。 11時46分、造林小屋前を通過。 |
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11時56分、車に戻る。 2時、無事帰宅。 |